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大規模緩和 日銀は将来展望を示せ

 日銀が続けてきた大規模金融緩和策の出口が見えない。

 米国は利上げを決めて、主要政策金利水準は8年半ぶりに1%以上となった。リーマン・ショック後の量的金融緩和策で膨らんだ保有資産の縮小に年内に着手することも決めた。欧州は追加利下げを打ち切る方針を決め、緩和の出口を模索し始めている。

 その中で、日銀の金融緩和策の異様さが際立つ。

 すでに開始から4年を超えた。日銀が金融機関から国債を購入し、市場に大量のお金を供給する。経済を活性化させ、デフレから脱却する狙いだった。

 国債を大量に買い続けた結果、日銀の総資産は今年5月に初めて500兆円を突破し、日本の国内総生産(GDP)にほぼ並んだ。国債発行残高に占める日銀の保有割合は4割を超えている。

 それでも日銀が目指す物価上昇率2%の実現は遠い。生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比は0%程度で、予想物価上昇率も弱含みの状況が続いている。緩和策は既に手詰まりの状態だ。

 日銀は16日、現状の金融緩和策の継続を決め、黒田東彦総裁は出口戦略について、「現時点で示すのは難しい」と述べている。いつまで大規模緩和を続けるのか。リスクにも目を向けて、将来展望を示す必要がある。

 懸念されるリスクの一つは、緩和策の出口局面で、日銀の財務面に与える悪影響である。

 大量に国債を保有した結果、出口局面で長期金利が1%上がって国債価格が低下した場合、日銀の保有する国債には23兆円の含み損が出る。金利が上がれば、日銀にお金を預ける金融機関に対する利払いも増える。財務面への懸念が金融市場の信認を低下させ、混乱をもたらす可能性がある。

 大規模緩和を継続するデメリットも大きい。

 低金利で国債を発行できる環境は、政府の財政規律の緩みを助長させた。財政再建が遠のき、市場の信認を失って国債価格が下落することも否定できない。

 株式市場の価格形成もいびつにしている。日銀は今年だけで約2兆8千億円の上場投資信託(ETF)を購入し、日本株の最大の買い手となっている。官製相場は経済の実態を見えにくくしている。

 大規模金融緩和は物価上昇を実現できないまま、デメリットばかりが顕在化している。日銀は政策転換を考える時である。リスクを明らかにした上で、混乱を最小限に抑える努力が求められる。

(6月19日)

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