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考えてみたことがなかった。「新元号の決定を早く」と訴えた先日の全国カレンダー出版協同組合連合会の記者会見。カレンダー作りは1年以上も前に始まり、組合加盟の約30社だけで1億冊も印刷していると教えられた

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何曜日だったかと目をやり、宝くじを買うのに六輝(ろっき)を確かめる。自宅と職場の壁や机に、財布にはカード型カレンダーもある。言われてみれば合点がいく。連合会は来年1月までには決めてほしいという。同様の業界がほかにもあるかもしれない

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元号は中国で漢の武帝の時代に生まれ、日本では645年の「大化」から用いられている。皇位継承時だけでなく、災いがあった場合などにもたびたび改元されてきた。明治から「一世一元」となり、いまは決めるのも天皇ではなく閣議に変わっている

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元号を冠した歴史上の事象もあってか、何となく親しみを感じてきたけれど、天皇制とは分けて、廃止を求める人たちもいる。井上清著「元号制批判」は、不規則に歴史を区分すれば時代認識を誤る、排外主義を生む、権力による国民統合に利用される―。そうした理由を挙げる

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思い当たる節もある。先の戦争の過ちなど忘れたような政治が続き、憲法改定まで日程に乗ろうとしている。新元号になって「新たな時代の到来」が言いはやされ、大切な歴史認識がぼやけてはたまらない。皇位の継承に立ち会う折、元号について冷静に考えてみるのも、国のありようを捉える一助になろう。

(6月19日)

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