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TVネット配信 視聴者の利益を第一に

 NHK受信料を払っている世帯を除いて、新たにネット受信の手続きをした世帯にだけ受信契約を結ぶよう求め、課金する―。

 番組のインターネット常時同時配信が実現したときの受信料について、NHKの委員会が答申案をまとめた。2台目、3台目のテレビと同様に、追加徴収をしないのがポイントだ。

 同時配信の影響を心配している民放への配慮など、残された課題も多い。視聴者の声を聞きながら国民が納得できる方向を打ち出してもらいたい。

 NHKが番組をネットで常時同時配信するには、NHKの業務を「放送」に限定している放送法の改正が必要になる。ネット配信は放送とは言いにくいからだ。

 総務省が昨年、配信を可能にする方向で検討を始めたのを受け、NHKは委員会を設置して問題点の洗い出しを進めてきた。

 答申案の柱は以下の3点だ。

 (1)ネット受信端末を持つだけでは課金しない(2)視聴者が受信手続きをした場合に課金する(3)ただし既にテレビ受信契約をしている世帯に新たな負担は求めない―。

 この案について、NHKは既にパブリックコメント(意見公募)を始めている。

 NHKによると総世帯数の約5%がテレビ受信機を持たない。この世帯がネットで見るための手続きをした場合に負担が発生する。答申案は新制度への移行に際して暫定措置を検討するよう求めてもいる。全体に混乱回避を重視した案と言える。

 特に、端末を持つだけで課金する考えをとらないのは現実的だ。パソコンやスマホを持つのは放送受信が目的とは限らない。端末設置が契約義務に直結するやり方は国民の理解を得られない。

 答申案は受信手続きの具体例として、アプリのダウンロードやIDの取得を挙げている。手順が簡単で厳正な受信者管理ができる仕組みを作れるかどうか、気になるところだ。

 整理し切れていない問題もある。一つは民間放送、とりわけ地方民放への目配りだ。

 NHKが同時配信を始めれば民放への影響は避けられない。大都市のキー局が対抗して同時配信を始めると地方民放の視聴率に響く。地方のテレビ番組の質が低下するようでは困る。

 ネットも活用しつつ、「豊かで、かつ、良い放送番組」(放送法15条)を国民が享受できる環境をどうやって整えていくか―。政府と放送界全体の課題である。

(6月30日)

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