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育児休暇 企業はもっと積極的に

 企業風土が変わったとは言えないようだ。

 育児休業や出産休暇を取る際、上司や同僚の目が気になる―。働く女性の3割余りがそう感じている、との調査結果を、東京都の一般財団法人がまとめた。

 感じ方の問題では片付けられない。育児と仕事を両立できる社会環境を整えていくには、行政の施策とともに、企業の自発的な取り組みが欠かせない。

 妊娠や出産、育児を理由に退職や降格を迫られる「マタニティーハラスメント」に関わる、労働局への相談数が増えている。

 男女雇用機会均等法も育児・介護休業法も、出産や育児に伴う不平等な扱いを禁じている。が、経歴と無関係な部署に転属された、重要な仕事を任されなくなったといった訴えが相次ぐ。

 職場復帰後も、短時間勤務の期間を過ぎると、日常的な残業が壁になり、非正規への転職を余儀なくされる事例も目立つ。

 深刻なのは、25〜34歳のおよそ4割を占める非正規雇用の女性が置かれた状況だ。1月に取得条件が緩和されたものの、企業側が契約を更新しなければ仕事を失いかねず、育休を取ること自体が難しいままになっている。

 企業の中には、時短勤務の期間を独自に延長したり、フルタイムで復帰する時期を個々の社員と相談して決めたりする工夫が見られる。早期の仕事再開に向けて企業内保育所を設けたり、子どもの預け先確保を支援する担当者を置いたりするところもある。

 女性の育休取得率は80%台で推移している。一方の男性は昨年度で3・16%。これでも「過去最高」で、約半数の取得期間はわずか数日にとどまるという。

 就職活動中の学生を対象とした昨年の調査では、男子学生の半分が育休取得を希望し、子育てに関わりたいとの意向を示していた。取りやすい仕組みさえあれば改善されるだろう。女性に偏っている育児の負担を軽減し、労働意欲を高める効果も期待できる。

 政府は少子化対策の必要もあって、働き方改革を図ってはいるが、企業の裁量に委ねられている面はなお大きい。法令の抜け道も残されている。企業に義務の履行を促し、悪質な違反に対する罰則は強化してほしい。

 育児に限らず、介護や病気療養などでフルタイムでは働けなくなる状況は、どの社員にも起こり得る。多様な勤務形態を認め合い、長く働き続けることのできる職場をつくっていきたい。

(7月3日)

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