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幹事長発言 報道の役割への無理解

 報道の役割に理解が薄い安倍晋三首相の姿勢が影響しているのではないか。

 自民党の二階俊博幹事長がまた、報道機関を威圧するような発言をした。先週の東京都議選応援演説でのことである。

 こう述べている。「言葉一つ間違えたら、すぐにいろんな話になる。どういうつもりで書いているか知らないが、お金払って(新聞などを)買ってもらっていることを忘れては駄目だ」

 その前日、幹事長は精神障害者に対する差別的な表現を使って北朝鮮のミサイル発射に言及していた。メディアが批判的に報じたことに反論する形での発言だ。

 その際、報道が選挙に与える影響に触れて、「落とすなら落としてみろ。マスコミの人たちが選挙を左右すると思ったら大間違いだ」とも言っている。

 幹事長は4月には閣僚の辞任問題をめぐって報道を批判していた。今度の発言もついうっかりの失言などではない。

 党の若手議員が開いた2年前の勉強会を思い出す。安保法案を批判する報道について「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい」などの発言が繰り返された。講師に呼ばれた作家は「沖縄の二つの新聞はつぶさなければいけない」と話している。

 こうした発想の発言をさかのぼると5年前の第2次安倍政権発足に行き着く。首相に近い人物をNHK経営委員に起用したのを手始めに、民放幹部を党本部に呼んで「事情聴取」するなど、メディアへの介入がその後続く。

 首相自身、民放テレビに出演して番組内容に「おかしい」とかみついたこともある。幹事長発言はその延長線上にある。

 国際NGO「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)が発表した今年の報道自由度ランキングで、日本は180カ国中72位だった。先進7カ国(G7)の中で最下位だ。安倍政権が発足して以降、順位は急落している。

 メディアの自由な活動が封じられると国民に本当のことが伝わらず、政治の健全な運営が難しくなる。事態を深刻に受け止めなければならない。

 ここで改めてメディア自身の姿勢が問われる。報道の自由を侵食させない努力を尽くしているか、振り返らねばなるまい。

 例えば最近も大手紙が安倍首相の改憲路線の露払いをするかの記事を載せた。権力に擦り寄っていると見なされるようでは、メディアの存在意義が揺らぐ。

(7月5日)

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