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「共謀罪」法施行 司法取引での冤罪 懸念 県内弁護士

 11日施行の改正組織犯罪処罰法に盛られた「共謀罪」と、来年導入される司法取引が絡んだ事件にどう対応すべきか、弁護士から戸惑う声が出ている。犯行前の計画段階で処罰する共謀罪は物的証拠が少ないため自白偏重になりやすく、司法取引は容疑者、被告が自らの処罰を軽くするため他人について虚偽の供述をする恐れがある。弁護士は司法取引に立ち会うことが求められているが、冤罪(えんざい)を生むことに結果として関わってしまうのでは―と懸念している。

 「われわれ弁護人にとっても極めて恐ろしい制度です」。「共謀罪」法成立前の今春、上田市であった市民対象の「憲法出前講座」。講師で県弁護士会憲法問題プロジェクトチーム座長の滝沢修一弁護士(64)=上田市=は共謀罪を解説した上で、司法取引と組み合わさることで生じる危険性に触れた。

 司法取引は、容疑者や被告が、共犯者など他人の犯罪について供述すれば、見返りに自身の罪を軽くしてもらえる。検察官、容疑者(被告)、弁護人の3者で協議し、合意書面は3者で署名する。滝沢弁護士は「(依頼人の容疑者・被告から)自分の刑を軽くするよう司法取引で交渉を―と求められれば、弁護人は対応しなければいけない」と話す。

 だが、共謀罪は実行行為がなく、心の動きを罪に問うため、客観的証拠が乏しくなるとの懸念がある。数少ない証拠の供述が、自分の責任を軽くするために他人を引き込む虚偽だったら―。「弁護士も冤罪をつくり上げることに協力する形になる」(滝沢弁護士)

 日弁連で「共謀罪」法の対策本部委員を務める米山秀之弁護士(45)=長野市=は、現時点で司法取引は「弁護人がどこまで関与して、証言の真実性に責任を負うか明らかではない」。取引段階で弁護士は証拠を見られず、供述が本当なのか判断しようがないと指摘。不安を覚える県外の弁護士もいるという。

 日弁連は、冤罪防止が弁護士の重要な役割としている。その職業倫理から、滝沢弁護士は「共謀罪と司法取引が絡むことで冤罪の危険性がさらに大きくなる。どうしていいか対応に困る」。今後、弁護士間で対応を考えることが必要とみている。

(7月11日)

長野県のニュース(7月11日)