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韓国の提案 対話への道筋どう描く

 韓国の文在寅政権が北朝鮮との対話の実現に本腰を入れる姿勢を鮮明にした。

 国防省は南北軍事境界線付近での敵対行為停止を議題とする会談を21日に行うことを提案。大韓赤十字社も離散家族再会事業の実施に関する会談を8月1日に開くことを北朝鮮に求めた。

 北朝鮮の核・ミサイル開発問題を事実上棚上げし、南北の緊張緩和を優先させた格好だ。

 北朝鮮への対応を巡っては、米国や日本が圧力強化を訴える。中国やロシアは対話重視で、亀裂が深まっている。会談が実現しても核問題で進展がなければ、内外から批判されるだろう。

 手詰まり感が強まる中、文氏は大きな賭けに出たといえる。対話によって北朝鮮の挑発行為を止めることができるか。今後の展開を注意深く見守りたい。

 文氏は大統領選から北朝鮮への融和姿勢を示していた。先月末の米韓首脳会談でも、南北対話再開を目指す文氏の姿勢をトランプ氏が支持するとの文言を共同声明に盛り込むことに成功した。

 その直後に、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。それでも、文氏はドイツで行った演説で金正恩朝鮮労働党委員長に向けて首脳会談開催を提案。今回新たに複数の会談を求めたことで対話姿勢が揺るぎないことを強く印象づけた。

 南北間では、2013年に北朝鮮が一方的に軍用通信線を遮断した。現在、韓国による北朝鮮への呼び掛けは板門店でハンドマイクを使って行うしかないとされ、危険な状況が続いている。

 偶発的な衝突が起きれば、米軍も交えた戦闘に発展する懸念もあるだけに、軍事当局間のパイプ構築は急務だ。

 朝鮮労働党の機関紙は、南北首脳会談を提案した文氏の演説に対し「詭弁(きべん)」と非難しながらも、政治・軍事的な対決状態は解消する必要があるとの認識を示した。北朝鮮がどのような反応をしてくるか、注目したい。

 文氏の対話再開は、現状では条件なしの提案に等しい。窓口を再開させた上で、北朝鮮に核・ミサイルの廃棄を説得する戦略を描いているようだ。圧力強化を重視する日米との間にすきま風が吹くことも考えられる。対話路線は曲折をたどるかもしれない。

 北朝鮮への対応で難しいのは経済制裁と対話のバランスである。文氏には日米とも緊密に連携し、東アジア全体の緊張緩和に資する対話の道筋を付けてほしい。

(7月19日)

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