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米政権の迷走 世界が失望している

 今の米国は大国としての落ち着きがなく、海図なき航海をしているようなものだ。内外で対立を深め、混乱をまき散らしている。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏が大統領になって半年がたった。オバマ前政権の実績否定にこだわるあまり政権運営は場当たり的で迷走している。政治手法には稚拙との声も強まり、米国の存在感低下を招いた。

 政治や経済、安全保障面で摩擦が強まり、エスカレートする恐れがある。そうならぬよう、米政府には責任ある対応を求める。

 政権が不安定なのは、トランプ氏に問題がある。言動は相変わらず不規則だ。どこまで信用していいか、分からない。自身に都合の悪い報道は「虚偽」と決めつけ、メディア攻撃もやめない。

 今、政権を大きく揺さぶっているのは、ロシアがトランプ氏陣営と結託して大統領選に干渉したとされる「ロシアゲート」疑惑である。この問題では、ロシア側と接触していた大統領補佐官が既に辞任に追い込まれている。

 さらに、トランプ氏の長男が選挙戦のさなか、ロシア政府に近い弁護士と会っていた問題も発覚した。公開されたメールによると、対立候補のクリントン元国務長官に打撃を与える情報提供が持ち掛けられ、長男がこれを歓迎する経緯が書かれていた。

 トランプ氏は「面会では何も起きなかった」と長男を擁護した。が、娘婿のクシュナー大統領上級顧問らが同席していたことも判明し、疑惑は深まる一方だ。

 混乱は、政権運営に影響を与えているようにみえる。最重要課題とするオバマ前政権の医療保険制度改革見直しは、与党共和党から造反者が出た。制度廃止法案の可決が難しくなっている。

 批判が強かったメキシコ国境への壁建設も見通しが立たない。企業優遇とされた大型減税の具体化もできないでいる。

 一方、地球温暖化対策のためのパリ協定からの離脱は強引に押し通した。「米国第一」の掛け声の下、地球規模の課題解決に背を向けるトランプ氏の姿勢は、米国への失望を招いた。

 来年は中間選挙がある。今のままだと有権者から不信任を突き付けられるかもしれない。

 トランプ氏は、求心力を高めるため、人気取りに傾く可能性がある。根強く存在する支持層からは喝采を受けるかもしれないが、米国政治は「見せ物」のようになるだろう。議会や米国民の冷静な判断と行動こそが求められる。

(7月21日)

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