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県内公立校 冷房設置進まず 財政が壁

同窓会が費用負担して設置したエアコン(左上)の下、授業を受ける生徒たち=20日、長野市の長野吉田高校同窓会が費用負担して設置したエアコン(左上)の下、授業を受ける生徒たち=20日、長野市の長野吉田高校
 全国の公立の小中学校と高校を対象に文部科学省が実施した教室の冷房設置状況の調査(4月1日現在)で、県内の設置率は小中学校が8・6%、高校が13・7%にとどまり、全国平均(小中学校41・7%、高校49・6%)を大幅に下回ったことが22日、分かった。「避暑地」とされる地域が多く、他県に比べて設置が立ち遅れた面もある県内。だが近年、夏の暑さは厳しさを増しており、学校現場からは「学習に集中できない」と、対応を求める声が強まっている。

 県内の小中学校で冷房が設置済みなのは1万6650教室のうち1431教室。設置率は、最も低い北海道(1・9%)や青森(4・5%)など東北各県に続き下から5番目。2014年度の前回調査と比べ全国平均が11・8ポイント上昇したのに対し、長野は1・1ポイントの上昇にとどまった。

 高校は、3690教室のうち505教室で、設置率は北海道や青森、岩手に続き下から4番目。全国平均は前回より6・2ポイント上昇したが、長野は0・7ポイントとわずかな上昇だった。

 設置が遅れている理由について、県教委高校教育課は「信州は涼しいイメージがあり、一般家庭でも冷房を設置するようになったのは近年。設置を始めたのが遅かった面もあるかもしれない」とする。

 だが、長野地方気象台(長野市)によると、16年までの10年間に長野市箱清水の観測点で最高気温が30度を超えた日は506日。1977(昭和52)年までの10年間に比べて124日も増加した。温暖化などの影響が考えられるという。県教委や各市町村教委も早急の対応が必要―との認識は共通するが、それでも設置率が伸びない背景には財政事情があるようだ。

 1200余の小中学校の教室を抱える長野市教委は、「整備はしたいが、同じ条件で同時期に導入を進めるとなると、予算が追いつかない。子どもの安全を守る耐震化もまだ残っている」と説明。国を挙げて進める学校施設の耐震化の費用が財政を圧迫している面もあり、県教委高校教育課も「耐震化の工事が残っている。冷房は配管工事なども含めて1教室当たり100万円前後の設置費用がかかり、予算的に厳しい」とする。

 現場からは悲痛な声が上がる。今夏、校内で生徒に熱中症の症状が出た北信地方の中学校の校長は、教職員から教育委員会に設置を強く要望するよう迫られた。「予算の事情も分かるが、今後も暑さが続くとなると、どうしたらいいのか…」。北信の別の中学校の教頭も「汗だくの授業は先生も生徒も苦しい。教わったことを頭に入れろと言われても、難しいんじゃないか」とする。

 一方、12年の新築時に普通教室全部に冷房を設置した下伊那郡高森町の高森中学校の横山英志教頭は「気温が上がる昼すぎも集中力が途切れない生徒が増えた」と説明。冷房設置の学習面での好影響を実感しているという。県内では、自治体に頼らず、同窓会やPTAの費用負担で冷房を設置する例も出始めた。長野吉田高校(長野市)は同窓会などが負担して全学年の普通教室に設置済みだ。同校1年の宮野侑輝さん(15)は20日、「冷房がなかった中学時代と違って、勉強する気になる」と話していた。

(7月23日)

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