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概算要求基準 財政を立て直せるのか

 政府が2018年度予算の概算要求基準を閣議了解した。今回も歳出総額の上限は定めていない。歳出拡大の心配が膨らむ。

 臨時閣議に先立って開かれた政府与党政策懇談会で安倍晋三首相は「経済と財政の一体的再生に向けた取り組みをさらに加速させる」と述べた。言葉とは裏腹に財政を本気で立て直す姿勢は感じられない。

 概算要求基準は省庁が財務省に予算を求める際のルールだ。これに沿って8月末までに必要経費を要求、年末に向けて予算編成が進む。要求の総額は4年連続で100兆円を超える見通しである。

 重点施策に手厚く配分する4兆円程度の特別枠は、毎年の恒例になった。今回、首相が打ち出したのは「人づくり革命」だ。社会人の学び直しや研究開発を推進するための人材投資、中小企業の生産性向上につながる施策などを対象に考えている。

 従来の焼き直しのような施策が並ぶことになるのではないか。

 安倍政権は「地方創生」「1億総活躍社会」など次々に看板を掛け替えてきた。最近は加計学園を巡る問題などで逆風にさらされている。新たな目玉政策で関心をそらしたい思惑もあるだろう。

 国と地方の借金は1千兆円を超え、先進国で最悪の水準だ。17年度末には過去最悪を更新すると見込まれる。深刻な財政状況に政府はどこまで危機意識を持っているのか。野放図に歳出を膨らませるときではない。

 財政健全化目標の達成は絶望的だ。公共事業や社会保障などの経費を税収などの基本的な収入でどの程度賄えているかの指標「基礎的財政収支」を20年度に黒字化するというものである。試算では名目で3%以上の高い経済成長が続く前提でも赤字が残る。

 6月に閣議決定した骨太方針には別の目標も盛り込んだ。国内総生産(GDP)に対する債務残高比率の引き下げだ。昨年は基礎的財政収支を黒字化した後に達成すべき目標と位置付けていたのを格上げし、併記している。

 債務残高比率は、借金が増えても、それ以上にGDPが伸びれば数値が下がる。低金利が続く下で仮に債務残高の指標が改善した場合、歳出拡大の口実に使われる心配がある。黒字化目標が骨抜きになりかねない。

 税収を増やす努力とともに歳出を削減することが求められる。予算編成作業で厳しく切り込むべきだ。成長頼みの財政運営で将来への付け回しを続けてはならない。

(7月24日)

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