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加計学園問題 堂々巡りのもどかしさ

 加計学園の獣医学部新設計画を巡り、関係者の主張は今回も食い違い、真相がはっきりしないままだ。もどかしい衆院予算委員会の閉会中審査だった。

 政府は「加計ありき」の疑惑を否定する。しかし、肝心なところでは「記録がない」などと曖昧さを残している。丁寧な説明には程遠い。きょうの参院予算委でさらに切り込まなくてはならない。

 支持率が下がる中、安倍晋三首相は神妙な姿勢を見せた。これまでの国会答弁について「足らざる点があった」と反省を口にしている。「私の友人が関わることに疑念の目が向けられるのはもっともだ」とも述べた。

 一方で、学園側から働き掛けや依頼はなかったとし、自身も便宜を図ったことはないと関与を否定した。「岩盤規制」の改革を全体としてスピード感を持って進めるよう指示したと規制緩和の意義を重ねて強調している。

 規制改革の是非に議論をすり替えたいのではないか。問題は国家戦略特区制度によって首相の友人が理事長を務める学園だけに獣医学部新設が認められたことだ。公平、公正だったのか。政府の説明は説得力を欠く。

 政府は2015年に獣医学部新設の4条件を閣議決定した。このうち、既存の大学では対応が困難との項目について山本幸三地方創生担当相は各大学に確認していないとした。一体、何を根拠に条件を満たすと判断したのか。

 委員会には、官邸の動きが計画の背景にあったとする文部科学省の前川喜平前事務次官のほか、前川氏が「キーパーソン」と指摘する和泉洋人首相補佐官らが参考人として出席した。

 前川氏は、和泉氏から「総理は自分の口から言えないから自分が言う」と手続きを急ぐよう促されたと証言している。和泉氏は記録がないとした上で「こんな極端なことを言ったら記憶に残る」と発言を否定した。言った言わないの水掛け論では、らちが明かない。

 山本担当相も同様だ。学園による愛媛県での計画が認められる約2カ月前、日本獣医師会側と面会した際に「四国で新設することになった」と述べたとの記録が獣医師会にあった。山本氏は「獣医師会側の思い込み」とする。山本氏側の記録はないという。

 今回、与野党が参考人招致で合意していた獣医師会幹部は「都合がつかない」と欠席した。野党は学園の理事長らの招致も求めている。引き続き幅広い関係者から詳しく説明を聞く必要がある。

(7月25日)

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