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残業代ゼロ 労働時間規制と切り離せ

 一部の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」について、連合が「条件付き容認」の方針を撤回した。

 残業代がゼロになり過労死を助長すると批判されている制度である。労働者の働く環境に大きな影響が出かねない。

 それなのに連合は組織内の討議を徹底せず、執行部の判断で容認の姿勢を政府に伝えた。中央執行委員会に参加した産業別労働組合などから異論が噴出したのは当然だ。執行部は独走を真摯(しんし)に反省する必要がある。

 考えなければならないのは、高度プロフェッショナル制度の導入案と残業時間の規制案を、秋の臨時国会で一括審議する政府方針の問題点である。

 残業時間規制は働き方改革の一環として、残業の上限を「月100時間未満」とする。労働時間規制の緩和と強化になりかねない内容を一括審議して、賛否を問うことに無理がある。

 残業規制は喫緊の課題になっている。これまでは労使協定に特別条項を加えれば残業時間は青天井だった。過労自殺や過労死も後を絶たない。2016年度の過労死は107件で前年度より11件増えている。

 「月100時間」の上限では、過労死や過労自殺をなくす当初の目標には程遠いものの、上限新設は一歩前進にはなる。国会で問題点を審議する必要がある。

 連合は残業時間規制の導入に長年にわたって取り組んできた。政府は上限設定を「人質」にして、高度プロフェッショナル制度の容認を連合に迫った。「安倍一強」の国会情勢を背景に、「清濁併せのむ」ことを迫る政府のやり方には問題がある。

 高度プロフェッショナル制度に対する疑念はつきない。

 年収1075万円以上の研究開発職や金融ディーラーなど「労働時間と成果の関連性が高くない仕事」を対象とする。残業代などの割増賃金が支払われない。休日付与や残業制限もない。問題点が多く指摘され、法案は2年以上、塩漬けになっていた。それでも政府が導入を急ぐ背景には賃金上昇を抑えたい経済界の要望がある。

 政府は効率的な仕事ができると説明している。それならば制度が労働環境の改善につながるか国会で徹底的に論議し、制度の可否を考えなければならない。

 臨時国会は残業時間規制を優先する必要がある。高度プロフェッショナル制度と残業時間規制を切り離し、法案を練り直すべきだ。

(7月28日)

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