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南アルプス・仙丈ケ岳に「女将」 「人と人をつなぐ場所に」

ランプに火をともす斎藤さん。棚には大好きな地酒を並べ、手書きで特徴を紹介している=27日ランプに火をともす斎藤さん。棚には大好きな地酒を並べ、手書きで特徴を紹介している=27日
 南アルプス仙丈ケ岳(3033メートル)の山小屋「馬の背ヒュッテ」で、この夏から福島県出身の斎藤しのぶさん(43)が管理人を務めている。今月6日に今季の営業を始め、登山客からは早速「女将(おかみ)」と呼ばれて親しまれている。大好きな信州の地酒を並べ、「登山基地としてだけでなく、人と人をつなぐような山小屋にしたい」と話している。

 学生時代に都会生活を体験し、「自然の中で生きることに改めて憧れた」斎藤さん。大学卒業後、北海道・大雪山麓のビジターセンターに勤め、山岳ガイドを11年続けた。

 その後、愛知県で働きながら信州の山々を訪れるうち、個性的な経営者や小屋番がいてそれぞれに特徴がある山小屋に引かれた。いつかは自分も山小屋を切り盛りしたいと思い、2014年から北アルプス船窪(ふなくぼ)小屋(長野県大町市)や御嶽山の五の池小屋(岐阜県下呂市)を手伝ってきた。

 昨年冬、斎藤さんを人づてに知った馬の背ヒュッテのオーナーが管理人を依頼。そばを通り過ぎたことしかなかったが、斎藤さんは「お見合いみたい」と引き受けた。6月下旬に準備で小屋に入り、だんだん芽吹く周囲の草木の様子に「稜線(りょうせん)の小屋も魅力的だけれど、緑の中にある小屋もいいな」。現在、スタッフ4人と働いている。

 大事にしたいのは、夕食後、宿泊客同士がお酒を楽しむ時間。冬に働いた大町市と伊那市の蔵元から選んだ信州の地酒や、出身地の福島県の地酒を棚に並べ、壁には「華やかな香りとふくよかな甘みが特徴」「米作りからこだわる蔵」などと手書きした紙も貼っていて楽しい。

 仙丈ケ岳登山口の北沢峠「こもれび山荘」管理人、竹元直亮(なおあき)さん(44)は「南アに新しい風が入ってくる」と期待。斎藤さんも「『今、南アが面白いよね』と言ってもらえるよう、盛り上げていけたらいい」と張り切っている。

(7月28日)

長野県のニュース(7月28日)