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日報問題監察 これで幕引きにするな

 遠慮したのか意図的なのか、肝心なところに切り込むことができていない。身内の監察の限界だ。第三者機関による調査に加えて、国会での真相究明を与野党に求める。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題について特別防衛監察の結果が公表された。情報公開請求に対し、既に廃棄されたと虚偽の説明が行われ開示されなかった問題だ。

 日報には現地情勢に関して「戦闘」「攻撃」など、政府にとって都合の悪い表現が並んでいた。実際は統合幕僚監部と陸上自衛隊にデータが残っていた。

 問題のポイントは、(1)稲田朋美防衛相が陸自から、日報データが実は保管されていたとの報告を受けていたか(2)日報を非公表にすることを防衛相が了承したか(3)「(日報が)今更あったとは言えない」とする統幕防衛官僚の発言があったか―の3点だ。

 監察結果はいずれに対しても説得力ある解明、説明ができていない。(1)については「報告を受けた可能性は否定できない」との記述にとどまっている。受けていたかどうかはやぶの中だ。

 (2)については、防衛相が公表の是非に関して方針決定や了承をした事実はなかったとした。

 稲田氏が非公表とする方針を防衛省幹部から伝えられ了承していたことは、複数の政府関係者が証言している。何を根拠に「なかった」と判断したのか、監察結果からは分からない。

 そして(3)の「今更」発言だ。監察結果は「確認できなかった」と煮え切らない。

 特別監察は2006年の防衛施設庁(当時)官製談合事件を受け規律を正す目的で始まった。防衛相が主導する形を前提とする仕組みであり、大臣、副大臣、政務官の三役は対象外だ。

 今回は監察本部トップによるわずか1時間の聴取が行われた。本来なら防衛相自身の関与が浮上した段階で、第三者による調査に切り替えるべきだった。

 今度の監察はもともと統率力不足を指摘された稲田氏が批判をかわすために始めた色彩があった。稲田氏は3月、国会で「徹底的に調査し、隠蔽体質があれば私の責任で改善したい」と述べていた。

 その時点で既に非公表とする方針が報告され、防衛相も了承していた疑いが持たれている。事実なら国民への背信だ。

 このまま終わらせるようでは、特別監察そのものが疑惑隠しの一端を担う結果になる。

(7月29日)

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