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松本城公園ビアフェス「品格ない」に疑問の声

「品格のある方の入店をお断りします」と張り紙をした松本市内の居酒屋。市教委の対応を皮肉った=28日「品格のある方の入店をお断りします」と張り紙をした松本市内の居酒屋。市教委の対応を皮肉った=28日
 松本市の松本城公園を会場に2014年から開いてきた「ビアフェス信州クラフトビールフェスティバルin松本」を巡り、公園管理者の市教委が「自粛」を要請した問題で、市内の飲食店経営者らでつくる実行委員会は28日、今年の開催を断念すると正式に発表した。飲酒を伴うイベントが「史跡の品格にふさわしくない」とした市教委の判断に、飲食業者やまちづくりに関わる人たちからは「にぎわいづくりを目指す取り組みなのに、なぜ」との声が上がっている。市教委の対応をただそうとする動きも出始めた。

 「品格のある方の入店をお断りします」。松本駅前の居酒屋は28日夜、店の入り口に張り紙をした。

 市教委は4月に公園管理の内規を改正し、「史跡松本城の品格にふさわしくないと判断する行為は認めない」などとする項目に、「飲酒や酒類販売を伴うイベント」は「自粛を要請する」との項目を追加した。市教委の判断に「酒や酒を扱うイベントは品格がないのか」と憤った店主が、「当店では品格のない商品を取り扱っております」と皮肉った。

 「飲酒を悪いこととみなしている」と疑問視する市民は少なくない。松本地方の酒販店などでつくる中信小売酒販組合の輿正清理事長(松本市)は「飲酒が害だと思われるなら悲しい。酒を酌み交わすことの良い面も(市教委は)考えてほしい」とする。

 実行委とも協力し、桜の時季や冬季に松本城近くでビールやホットワインを楽しむイベントを開いている住民組織「松本城・三の丸倶楽部」座長の斉藤忠政さん(43)は、「ビールを求めて松本城公園にたくさんの人が集い、何十年後かに文化になる。市教委の要請はでたらめだ」と憤る。他団体とも連携して、近く市教委に意見する方針だ。

 市や市教委によると、今回の対応を巡って28日夕までに電話8件、メール22件の意見が寄せられた。ビアフェス開催を検討してほしいとの意見が多かった一方、自粛に賛同する声もあったとしている。

 市教委によると、内規は3月に非公開で開いた教育委員の協議会で承認されたという。過去3回の開催で累計5万人以上を集めたフェスが開催できない可能性もある内規の改正について、事前に市民の意見を聞く機会はなかった。都築勉・信州大教授(政治学)は「開催について市民の中にもいろいろな意見があるはず。市教委などが意向調査をしたり、議論の場を設けたりしても良かったのではないか」と指摘している。

(7月29日)

長野県のニュース(7月29日)