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個人情報、どう扱えば 改正保護法施行2カ月

 小規模事業所や非営利組織などにも情報の適正管理を求めた改正個人情報保護法が施行され、30日で2カ月。県内のPTAや自営業者などから法施行後、戸惑いの声が出ている。情報取得時に本人に利用目的を伝えたり、情報漏えいを防いだりといった対応が求められ、国の監督に従わない場合は罰則が適用される可能性もあるためだ。一方、改正法への関心は十分広がっているとは言えず、何がどこまで保護されるべきか、市民に共有されない状況が続いている。

 「学校からPTAへの個人情報の提供についてご了解をお願いします」。長野市鍋屋田小学校で5月、PTA役員らに通知文が出された。

 従来、PTA役員らの名簿は学校側が作り、PTA側に提供してきた。学校側は「PTAに提供する情報も改正法の適用対象になる」(田川昌彦校長)とみて、名簿に載る役員らの了解を求めて通知した。来年度からは学校側からの名簿提供はやめる方針。PTA側は来年度から、独自に名簿を作ることも検討する。

 年度替わりには、登校班に加わる新1年生を事前に把握する必要があるとして、新入生の情報を地元PTA役員に伝えてきたが、これも中止する予定。入学前説明会にPTA役員が訪れ、情報提供の了解を取り付けるなど、役員の負担は増える見通しだ。

 法の運用を監視する第三者機関・個人情報保護委員会(東京)によると、5月30日の改正法施行後、全国のPTAや自治会などから名簿の扱い方について問い合わせが相次いだ。「名簿が作れなくなる」と誤解する人もいた。県PTA連合会にも問い合わせがあり、注意点を公式フェイスブックに載せた。

 長野市で武道教室を営む原田裕次さん(60)は5月末、長野商工会議所が企画した個人情報保護法セミナーに参加した。教室には子どもを中心に約80人が所属しており、個人情報を扱う。セミナーでは、パソコンの基本ソフト(OS)を常に最新版に更新し、ウイルス対策ソフトも最新型を使うことなど情報漏えいを防ぐための対応を学んだ。

 ただ、セミナー参加者は定員40人に対し、10人余。原田さんのように関心を持つ人は多いとは言えない状況だ。

 飯田商工会議所(飯田市)は今春、改正法を解説する小冊子を発行したが、「冊子が欲しい」と申し出た会員企業はわずか。飯田市内の商店主男性(49)は、まだ小冊子を見ていないという。改正についても「今までより厳しくなったのかな」との印象で、正確な内容は知らないという。

 個人情報保護委は「情報を適切に取り扱っていれば(管理は)大きな負担にならない」と説明。ただ、何が保護されるべき情報なのか、市民の理解が進んでいない状況が続けば過剰反応を招き、閉鎖的な社会に向かう恐れもある。

 プライバシー問題に詳しい立山紘毅・山口大教授は「もともと個人情報保護法は『個人情報を使ってはいけない』という趣旨ではなく、保護しなければならない境界線をはっきりさせて、個人情報を利用するルールをつくる」と説明。過剰反応しないためには、「個人情報を何のために利用するのか、どうして保護しなければならないのか、そのための適当な手段は何か考えることが必要」としている。

(7月30日)

長野県のニュース(7月30日)