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核のごみ処理 脱原発で総量の確定を

 思惑通りに最終処分地の選定が進むとは思えない。

 政府が「核のごみ」の最終処分地になり得る地域を示した日本地図を公表した。原発で発電した後に出る高レベル放射性廃棄物である。

 政府は処分地選定に向けた議論を活性化して、調査を受け入れる自治体の選定を急ぐという。

 核のごみは強い放射能を出すため、ガラスと混ぜて管理しやすい固化体にして、地下300メートルより深くに埋める。隔離期間は数万年から10万年とされる。

 公表された地図は、政府が「処分が可能」とする場所が広く存在することを示している。全都道府県に存在し、国土の7割弱が該当した。長野県内も南信や中信地方の一部地域が「好ましい特性が確認できる地域」と分類された。

 地元の理解を得るには、解決するべき問題点が多い。

 まず処分する核のごみの総量が決まっていないことだ。日本には使用済み核燃料が約1万8千トン存在している。すでに再処理した分を含めると、ガラス固化体換算で2万5千本相当になる。

 原発の稼働を続ける限り、増え続ける。自治体には処分場を受け入れると、搬入が際限なく続くのではという懸念がある。最終処分を考えるなら、核のごみの総量を確定することが必要だ。脱原発を明確にして、原発の稼働期間と基数を決めなければならない。

 核燃料サイクルの継続も焦点になる。原発で使用した後に出る核燃料は全て再処理して、プルトニウムやウランを取り出し、原発で燃料として再利用することになっている。核のごみは、その過程で生み出される。

 取り出したプルトニウムはすでに48トンに上り、核爆弾6千発分に相当する。それなのにプルトニウムの利用はめどが立たない。核燃サイクルは既に行き詰まっている。再処理を前提にした最終処分計画には無理がある。

 科学的な根拠にも疑問が残る。10万年もの間、安全に保管できるかは専門家の中でも見解が分かれる難しい問題だ。検証が十分にされない限り、受け入れてもらうのは難しいだろう。

 核のごみの処分先が決まらない原発はこれまで「トイレなきマンション」と批判されてきた。核のごみは将来世代には有害な存在にすぎない。処分場選定はこれ以上、放置できない問題だ。政府だけでなく国民一人一人が政策の矛盾に向き合い、原発の「しまい方」を考える必要がある。

(7月31日)

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