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斜面

おなかと背中に大きなひれ。それに愛嬌(あいきょう)のある顔立ちといえば、水族館で人気のマンボウである。最大で3メートルを超える体長が影響するのか動きは鈍い。水族館では水槽のガラスにぶつかってしまうため、防止用のシートが欠かせない

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ゆっくりと水中を泳ぐ姿から「ミニ・マンボウ」と愛称を付けられたロボットが成果を出した。東京電力福島第1原発の調査である。3号機原子炉を覆った容器の底に、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる物体が散在していることを確認した

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事故から6年超。原子炉の内部を詳細に撮影できたのは初めてだ。廃炉に向けた一歩になるだろう。それでも「ミニ・マンボウ」が映し出した世界は、想像以上の惨状といえる。金属の足場は溶け落ちて、その代わりに黒っぽい物体。容器の底から1メートルの高さまで堆積物があった

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廃炉作業はこれまで、汚染水の処理など環境整備の段階だった。撮影成功を受け、政府は9月をめどにデブリの取り出し方針を決めるという。政府の鼻息は荒いが「方法確定には程遠い」という田中俊一原子力規制委員長の言葉の方が実態に近いだろう

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世界初の試みである。確立した技術はないに等しい。成功したとしても、デブリの処分場所という難題も待ち受ける。8兆円とされる費用で賄えるのか、その根拠も薄い。暗闇の中、手探りの作業が続く。工程表では作業開始は4年後。壁にぶち当たっても試行錯誤を続けていくしかない。

(7月31日)

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