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今どきは朝露をまとうアサガオやツユクサの青い花に癒やされる。花の世界もここまで来たかと驚くのは農業・食品産業技術総合研究機構とサントリーのチームが青い菊を咲かせるのに成功したという報道だ。写真を見ると確かに青い

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菊はカーネーション、バラとともに世界の「三大切り花」と呼ばれる。国内の生産額は最多だ。面白いことに3種類とも青い花はなかった。まずサントリーの研究者らが95年にカーネーションで開発、04年にバラで成功させた。すでに店頭に並び人気だ

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可能にしたのが遺伝子組み換え技術の進歩である。ほかの青い花から色素をつくる遺伝子を取り出して組み込み、確認する作業を粘り強く繰り返す。菊の場合は10年以上の試行錯誤の末、カンパニュラとチョウマメの遺伝子をピンクの花に組み込むことで純粋な青にできたという

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なぜ青くなるかの研究は日本がリードしてきた。最初は20世紀初め、古代エジプトのツタンカーメン王の棺(ひつぎ)にもあった青いヤグルマギクをめぐるドイツの学者との論争だ。ようやく今世紀、最新鋭施設で色素を構造解析するまで一連の研究で決着を見た

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英語で「青いバラ」は「不可能なもの」の意味。飽くなき探求心が不可能を可能にした。青い菊は自然で交雑しないこと、生態系に影響しないことを確認後にデビューとなる。県内の菊栽培は佐久と諏訪が盛んだが、70年代をピークに作付けの減少が続く。新しい色で利用が広がるといい。

(8月1日)

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