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「戦後世代の語り部」育成  都内の支援団体が研修

残留孤児だった桂さん(右)の話を聞く研修生ら=23日、東京都台東区残留孤児だった桂さん(右)の話を聞く研修生ら=23日、東京都台東区
 長野県を含む10都県で中国帰国者を支援している首都圏中国帰国者支援・交流センター(東京)が、帰国者の戦争体験を語り伝える「戦後世代の語り部」を育成している。戦後70年を過ぎて当事者が高齢化し、減っていく中、体験を受け継いでいくため。3年間の研修後、要請に応じて各地の学習活動の場などに出向くという。

 同センターは、国の委託で公益財団法人「中国残留孤児援護基金」(東京)が運営する全国7センターの一つ。

 現在、首都圏を中心に30〜60代の男女8人が昨年10月から毎月、東京都台東区の同センターで1期生として研修中。国文学研究資料館(東京都立川市)の加藤聖文(きよふみ)准教授(50)を総合アドバイザーに、帰国者からの聞き取りと反省会を繰り返し、個々に「語り」のプランを作る。

 7月23日には、1990年に帰国した千葉市の桂康恵さん(74)を招き、4時間にわたって話を聞いた。残留孤児の桂さんは、中国人の養父母が3度も代わり、背中に値札を付けられ売られそうになったことなど幼い日の記憶を吐露。兄だけ連れて帰国した実親を長年恨んだが、「今は幸せ」と言って話を閉じた。

 研修生の友末可織さん(46)=埼玉県、パート勤務=は、中高生の2人の子どもに歴史を伝えたいと片道1時間以上かけて参加。「いじめや差別、原発事故など子どもを取り巻く環境は良くない。子どもたちが自分の生きる力に変えられるような伝え方をしたい」。祖母が残留婦人という一橋大大学院の山崎哲(さとる)さん(31)は「私たち3世ともなると親族の歴史への関心にも温度差がある。だからこそ学び、祖母らの体験を伝えられるようになりたい」と話した。

 敗戦時に子どもだった帰国者も70代半ば以上。研修は次世代の語り部育成で先行する沖縄戦(沖縄)や原爆(広島)の取り組みを参考にしたといい、研修生らは11月、下伊那郡阿智村の満蒙開拓平和記念館も訪ねる。加藤さんは「今を生きる子どもにどうしたら体験者の言葉を伝えられるか。感情に訴えるだけでなく思考してもらえるようにしたい」と展望を語る。

 同記念館も、来館者を案内するボランティアの養成や学習会を毎年続けており、三沢亜紀事務局長(50)は「誰の立場に立って歴史を伝えていくか。悲劇だけでなく歴史を検証しながら考えていくことが大切」と話す。同村では本年度、小中学校や高校で児童、生徒が満蒙開拓の歴史を学べる独自の学習プログラム作成を進めている。

 10月開講の2期生は5人程度を8月5日まで募集中。受講料は無料。小論文などの書類審査と面接がある。同センターの馬場尚子企画課長(60)は「若い人たちにも、歴史を学びながら未来をつくっていってほしい」と応募を呼び掛けている。問い合わせは同センター(電話03・5807・3171)へ。

(8月1日)

長野県のニュース(8月1日)