長野県のニュース

カジノ解禁 議論を一からやり直せ

 賭博罪の例外となるカジノ解禁に向けた準備が進んでいる。

 政府の有識者会議がカジノの運営規則を盛った報告書をまとめ、発表した。政府はこれを基に実施法案を作り、次期臨時国会に提出する。

 カジノを巡っては、ギャンブル依存症の増加、治安悪化、子どもたちへの影響、犯罪絡みの資金洗浄の恐れといった懸念が拭えていない。世論調査では、国民の大半が解禁に反対している。

 そもそも観光振興に欠かせないものなのか。原点に返って議論を尽くすよう各党に求める。

 カジノは、統合型リゾート施設(IR)の中心に位置付けられている。事業収益を国際会議場、美術館、ホテルなどの運営に還元し採算性を確保するという。

 国や立地自治体は、税金とは別にカジノ事業者から納付金を徴収できる。安倍内閣や自民党は、外国の富裕層を呼び込むことで、経済成長や雇用創出につながるとうたっている。

 今回の報告書は、日本人向けの「弊害防止対策」として(1)マイナンバーでの本人確認(2)入場回数制限と入場料徴収(3)本人や家族の申告による利用制限の義務付け(4)クレジットカードの利用禁止―などを盛っている。

 独立性の高い管理委員会が事業の審査、許可に当たり、法令違反を監視する。よほどの規制がなければ健全な運営は見込めないことを物語る内容だ。こうした規則の実効性にも疑問が残る。

 経済浮揚や雇用への効果も疑わしい。アジアではカジノの数が増えていて、「過当競争にあり採算が取れない」「訪日外国人の増加につながらない」との専門家の指摘もある。韓国のカジノでは借金を返せない自殺者の増加、治安悪化が問題となっている。

 IR整備推進法は昨年の臨時国会で成立した。審議開始から成立までわずか2週間。超党派の議員立法にもかかわらず、与党側は採決を強行した。カジノは射幸性も依存性も強いというのに、懸念に対するまともな議論はなく、「悪影響を避けるための措置」を政府に丸投げした。

 これほど無責任な議員立法はない。報告書を議論の仕切り直しの機会ととらえるべきだ。

 外国人観光客は、日本各地の伝統文化や景観にこそ魅力を感じてくれている。観光の将来を考えても、手っ取り早く金をもうける手段が好結果をもたらすとは思えない。カジノ合法化ありきで進むことは認められない。

(8月2日)

最近の社説