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糸魚川復興願い観音像 木曽ヒノキで上松の野村さん

シュッ、シュッと木を削り、糸魚川市に贈る観音像を彫る野村さんシュッ、シュッと木を削り、糸魚川市に贈る観音像を彫る野村さん
 木曽ヒノキの端材で小さな観音像を彫る木曽郡上松町の元大工、野村武敏さん(81)が2日、昨年12月に147棟を焼く火災が起きた新潟県糸魚川市に観音像500体を贈る。1950(昭和25)年5月に起きた「上松大火」で自宅が燃えた経験のある野村さんには、当時、新潟県からたくさんの魚が町に届いた思い出がある。その時のお礼にと思い立った。

 野村さんは、東日本大震災や県北部地震のあった2011年、「自分にできることを」と、保管していた樹齢250〜300年のヒノキの端材を使って観音像を作り始めた。いろいろと試作し、1体5、6分で彫ることができる高さ10センチほどの簡素な像の形を完成させ、現在までに約3800体を作った。1万体彫るのが目標という。

 自身も会員になっているNPO法人「木曽ひのきの森」が町内の赤沢自然休養林で、災害被災地に売上金を届ける趣旨で1体300円で販売。これまでに同郡南木曽町の土石流災害や御嶽山噴火災害の被災地に売上金を贈ってきた。今回はそこから10万円を糸魚川市に寄付する。観音像には「早期復興」の文字もゴム印で押している。

 野村さんが中学生だった時に起きた上松大火では町内で600軒以上が燃えた。戦後の食料が十分とは言えない時期だったのに次々と新潟県から魚が届いたといい、「助けてもらい、ありがたかったことが今も印象に残っている」と振り返る。2日はNPO法人の仲間2人と糸魚川市役所を訪れる予定。野村さんは「観音像を見て少しでも癒やしにつながればうれしい」と話している。

(8月2日)

長野県のニュース(8月2日)