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熊の出没傾向 8月が分岐点 県、予測実現へ研究着手

大糸線列車と衝突した熊を移動させる猟友会員ら=6月12日夜、大町市平大糸線列車と衝突した熊を移動させる猟友会員ら=6月12日夜、大町市平
 県内の人里でツキノワグマを目撃した月別の件数で、大量出没した2006、10、14年度は8月に大幅に増えたことが2日、県への取材で分かった。県環境保全研究所(長野市)は出没傾向の分岐点になっている8月ごろまでの生息環境についての研究に着手。熊が人里に現れる要因を見つけ、将来、「出没予測」を出すことを目指している。

 県林務部は、熊が人里を含めて大量に出た06年度から、人里での目撃件数を月ごとに集計。06、10、14年度の平均をみると、4月から徐々に増え7月に183件となった後、8月になって469件に急増、ピークの9月は619件だった。16年度までの他年度の平均は、7月が140件。8月が205件への増加にとどまり、9月以降は減る傾向だった。

 違いが出る理由は、熊が生息する森林内の木の実の量が主因とみられている。同研究所はそれに加え、気象状況、植生、昆虫の発生状況、熊の年齢構成なども関係している可能性があるとみて分析中。熊の生息状況をより正確に把握する手法の開発も進めたいとしている。

 自然環境部長の陸斉(くがひとし)さん(58)は、増加要因などが分かれば出没予測につなげられるとし、「住民にとって心構えになる」と話す。来夏ごろをめどに成果をまとめる考えだ。

 一方、06年度以降、県内全体では4年ごとに大量出没を繰り返している。木の実類の豊凶に合わせた動きと考えられているものの、地方によっては大量出没がなかったり、別の年に出没が目立ったりしている。地区ごとに違う理由も解明したいという。

 本年度4〜6月の件数は、比較的少ない状態で推移している。ただ、人里周辺での目撃例はあり、県は注意を促している。

 長野市若穂保科でリンゴを育てる小宮山隆さん(68)は「今年も心配」と気をもむ。小宮山さんの畑では14年、わなにかかった熊が逃げだし、様子を見に来た人がけがをした。昨年8月にも熊が現れた。「事前に出没の傾向が予測されれば大変助かる」と話している。

(8月3日)

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