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憲法の岐路 自民の議論 迷走ぶりが浮き彫りに

 6月にスタートした自民党憲法改正推進本部の議論が一巡した。

 柱とする四つのテーマ、9条、緊急事態条項、参院合区解消、教育無償化のいずれについても、課題や疑問点が多いことが浮き彫りになった。

 推進本部は国会に提出する党の改憲原案をまとめるための組織である。議論を急ぐよう求める安倍晋三首相(総裁)の意向を受け、高村正彦副総裁ら幹部が加わって6月に再出発した。

 四つのテーマのうち異論が特に多かったのが教育無償化だ。出席者からは「大学に行かずに働いている人もおり、不公平感が出る」「一般の法律で対応すべきだ」といった意見が出た。

 無償化を党の改憲案に掲げる日本維新の会の協力を得るために、検討課題にした経緯がある。政策判断よりも政局的な観点から浮上したテーマである。

 自民が維新の案に乗ることに対して、出席者からは「あざとい考えだ」といった苦言が出た。改憲ありきの執行部の姿勢が反発を買う形になった。

 9条関係では党の改憲草案との整合性を問う声が出た。現行規定をそのままにして自衛隊の存在を書き込むことは草案と相いれない、目指すは国防軍創設ではなかったのか―というのだ。

 緊急事態条項では人権制限の行き過ぎを懸念する意見があった。議論が一定の方向にまとまる様子は今はうかがえない。

 四つのテーマの中で唯一、合区解消は賛成論が多かった。

 この問題では昨年、全国知事会の研究会が提言をまとめている。(1)憲法を変えて都道府県代表制を盛り込む(2)公選法改正で「1票の格差」を縮める(3)国会法に地域代表制を明記する―の3案だ。

 合区を解消するには改憲だけではない、他のやり方もある、としているのがポイントだ。

 憲法を変えるのは本来、改憲以外では対処できない場合に限るべきだ。改憲による合区解消には賛成できない。

 安倍首相は秋の臨時国会に自民の改憲原案を出す構えでいる。来年の通常国会で改憲を発議し2020年に施行したい考えだ。

 疑問点だらけの案を国会に出しても実のある審議は望めない。与野党一致の発議は難しい。首相の改憲路線に唯々諾々従うことが国民のためになるのか、自民議員はよく考えてほしい。

(8月3日)

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