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材料を上から流し混ぜ合わせる生コン工場は背の高い独特の形だ。材料を貯蔵する大きなサイロもある。子どもの目には圧倒的な存在感をもって映るのだろう。長野市の信濃教育博物館で夕暮れの古ぼけた工場を描いた絵画に出合った

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企画展の「生活の中で心が動いたとき…そして絵になった」(〜10日)で展示している作品だ。24年前に小諸市美南ガ丘小5年だった渡辺香さんが描いた。たくさんの色を重ねた夕焼け空はゴッホの絵のような趣さえある。会場には合わせて33点が並ぶ

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「信州子ども絵画100年館の絵展」で中央入選し保存している1万7千点から身近な建造物を描いた作品を選んだ。製材所、校舎、駅舎など題材は多様だが、どれも人の息遣いが聞こえるようだ。子どもが何に心動かされたのかを青木正治副館長が読み解いたコメントを添えた

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大人が描いた手本の模写より身近な自然や現実の写生を―。山本鼎(かなえ)(1882〜1946年)がほぼ100年前に始めた自由画教育だ。創作について「自分が直接感じたものが尊い、そこから種々の力が生(うま)れて来るものでなければならない」と唱えた

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近年は生コン工場のような校外の題材を描いた作品が少ないという。子どもを外に連れ出し写生をさせる機会が減っているのだろうか。絵には一人一人の感動が詰まっている。「みんな違って、みんないい」と青木副館長。美術教育にとどまらないメッセージを発信している企画展である。

(8月3日)

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