長野県のニュース

被災住宅再建 「共助」も組み合わせて

 震災からの復興は被災した人々が生活の基盤である住まいを取り戻さなければ進まない。 多くの人にとって住宅再建の道は険しい。東日本大震災から6年たっても東北3県で7万人余が仮設住宅での生活を余儀なくされている現実が物語る。

 長野県は先日、損害保険会社などと「信州地震保険・共済加入促進協議会」を発足させた。備えを強めるため地震保険などへの加入を県民に呼び掛ける組織だ。

 県内の地震保険の世帯加入率は19・3%(2015年度)。全国平均(29・5%)より10ポイント以上低い。県は「地震に対する意識が高いとは言えない」として、加入率を全国並みに引き上げることを目標に掲げる。

 住宅再建にこうした「自助」を促すことに異存はない。ただ、保険で全てが賄えるわけではない。

 補償額の設定には上限があり、火災保険の契約金額の最大半分までだ。値上げが続く保険料の割高感もある。

 蓄えや地震保険の自助だけで再建できる人は限られる。22年前の阪神大震災で大きな問題になり、「公助」の仕組みを盛った被災者生活再建支援法ができた。

 大規模な自然災害で住まいが全壊した世帯に再建のため300万円、大規模半壊で250万円を上限として支給する。国費と都道府県拠出の基金が財源だ。

 制度発足当初の上限100万円に比べれば充実した。それでも新たに多額の借金をしなければ再建できない被災者が多い。対象者でも利用を諦め、移転する人たちもいる。過疎地では人口減少に拍車をかける。

 半壊や一部損壊でも住めない場合が多いのに支援の蚊帳の外に置かれてもいる。

 だからといって、支援金を大幅に増額したり、対象を一部損壊にまで広げたりすれば、厳しい財政状況で制度を破綻させかねない。

 自助と公助の間を埋める「共助」の仕組みが必要だ。

 参考になるのは震災を教訓に兵庫県が12年前につくった住宅再建共済制度だ。家の持ち主が年5千円を出し合い、一部損壊以上を対象に最大600万円を給付する。

 営利を目的としない。さらに広く集めれば、給付はより充実する。兵庫は各県に参加を呼びかけている。だが、運営に必要な人員や経費がネックで応じた県はない。

 国は3年前、有識者会議で「この共助の仕組みが全国に広がることを期待する」とした。各県任せにせず、国が後押しするべきだ。

(8月4日)

最近の社説