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内閣改造 強権政治を改めてこそ

 安倍晋三首相が内閣改造を行った。支持率が落ち込む中、閣僚経験者を多く起用するなど安定を重視した布陣になっている。

 問われるのは閣僚の顔触れよりも政権の姿勢だ。反対意見に耳を貸さない強権的な国会運営や、疑問に正面から答えない不誠実な対応を改めなければ、不信感は拭えない。

 菅義偉官房長官、麻生太郎副総理兼財務相ら5人が留任した。共謀罪を巡って不安定な答弁を重ねた法相、加計学園問題で明確な根拠を示さず疑惑を否定した地方創生担当相らは交代している。

 総務相には自民党の野田聖子元総務会長を起用した。アベノミクス検証の勉強会を開くなど首相と距離を置いてきた野田氏を取り込んだ形だ。党人事では副総裁、幹事長が留任している。首相の言いなり、官邸追随の流れがますます強まらないか心配になる。

 共同通信社が先月中旬に行った世論調査で内閣支持率は第2次政権発足後、最低を記録した。不支持は最も高くなり、支持と不支持が逆転している。不支持の理由で最も多かったのは「首相が信頼できない」だった。首相自身が招いた支持率急落である。

 2012年の政権復帰後、特定秘密保護法や安全保障関連法など巨大与党の強引な国会運営が続いてきた。共謀罪では委員会採決を省き、いきなり本会議で成立させる乱暴な手法を取った。

 前内閣で相次いだ閣僚の問題発言も見過ごせない。環太平洋連携協定(TPP)を巡って「強行採決」に言及した農相、東日本大震災について「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」と述べて辞めさせられた復興相…。政権のおごり、緩みが表れている。

 首相はきのう党臨時総務会で反省を口にした。「安倍内閣、自民党に対し、国民の厳しい目が注がれている。私自身、至らない点があり、こうした状況を招いた」と殊勝な姿勢を見せている。

 これまでも度々、反省の言葉を語り、丁寧な説明を約束しながら行動は伴わなかった。加計学園や森友学園の問題で政府は「記録がない」「記憶がない」と繰り返し解明に後ろ向きだ。首相は野党が憲法に基づき要求した臨時国会の召集に応じようとしない。

 次の国会で政府は一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の審議入りを目指す。カジノ解禁の実施法案も提出する方針だ。ともに疑問が多い。力ずくでなく、議論を尽くしてこそ「反省」は本物になる。

(8月4日)

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