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日報と加計 改造で幕引きにするな

 「大きな不信を招く結果となり、改めて深く反省し、おわび申し上げる」

 安倍晋三首相は内閣改造後に行った記者会見で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)や加計学園の獣医学部新設に触れ、深々と頭を下げた。

 神妙な姿勢を見せたものの、今後の解明には不安が残る。改造で幕引きを図ることは許されない。

 日報問題では10日に衆院安全保障委員会の閉会中審査を行うことが決まった。参院外交防衛委員会での実施も自民、民進両党の参院国対幹部が一致している。

 自民は、稲田朋美元防衛相の参考人招致を拒んできた。きのうの民進との会談でも「新しい防衛相に質疑に応じてもらう」とし、稲田氏の招致は不要とした。

 「廃棄済み」とされた日報が実際は電子データで残っていたことが発覚した問題だ。経緯を調べた特別防衛監察の結果は、稲田氏がデータ保管の報告を受けた可能性を否定できないとしつつ、非公表とする方針を了承した事実はないと結論付けた。

 これに対し、複数の政府関係者が報告、了承はあったと証言しており、言い分の食い違いが残ったままだ。省内でどんなやりとりがあったのか、稲田氏本人から聞く必要がある。新しい防衛相との質疑だけでは解明できない。

 稲田氏は在任中、国会で「徹底的に調査し、改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」と述べていた。辞めたからといって済む問題ではない。委員会に出て説明するのが筋だ。

 加計学園を巡る問題も議論は平行線で依然、真相がはっきりしない。文部科学省が国家戦略特区を担当する内閣府とのやりとりを記した文書には「官邸の最高レベルが言っていること」などの表現があった。しかし、内閣府側は発言を否定している。

 政府が閣議決定した獣医学部新設の条件を満たしていると判断した根拠も分からない。

 国会で答弁に立ってきた文科相と特区担当の地方創生担当相は改造で交代した。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」との発言などが記されていた官房副長官も外れている。関係閣僚らが入れ替わったことで問題がうやむやになりかねない。

 首相は特区に関する省庁間の交渉過程について今後、議事録を作り、透明化する方針を示した。その前に、まずは疑惑の解明だ。両問題の経緯を調べ直し、国会で説明するよう求める。

(8月5日)

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