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県防災ヘリ墜落5カ月、絶えぬ慰霊 登山道整備を望む声

墜落現場に続く斜面にできた「道」=5日墜落現場に続く斜面にできた「道」=5日
 搭乗者9人全員が死亡した県消防防災ヘリコプター「アルプス」墜落事故から5カ月となった5日、新盆を前に犠牲者を追悼する同僚や県消防防災航空隊OBら複数のグループが墜落現場の松本市入山辺の山中に入った。現場には今も数日おきに人が訪れており、上方の登山道から現場の沢筋に下る斜面には所々に、クマザサなどを踏み固めた「道」が出来上がっている。訪れた人からは、事故を風化させず、遺族らが長く慰霊を続けられるよう登山道の整備を求める声が上がっている。

 午前11時、亡くなった小口浩さん=当時(42)=の派遣元・松本広域消防局の同期の男性が、ストックを突きながら斜面を下ってきた。5月の機体回収後も草木がほとんど生えていない山肌近くに花を手向け、カップ酒を注ぐと、「同期で飲む時、いつも最後は日本酒だった」。地面をじっと見つめ、手を合わせた。

 航空隊のOBら10人余のグループは「お盆前の月命日に」と誘い合わせて訪れた。数年前まで隊に所属していたという男性は「初めて現場に来たが、事故があったなんて今も信じられない」と悔しそうだった。県内の消防職員でつくる県消防職員協議会の有志8人も、花束とビールを手向けて慰霊。上伊那広域消防本部の財前行男さん(51)は「悲しみはなくならないが、隊員の遺志を受け継いで頑張っていきたい」と語った。

 現場近くの鉢伏山荘を経営する近岡年さん(66)は「普段も数日に1度は同僚か家族とみられる人が歩いている」と話す。この日現場を訪れた航空隊OBの60代男性は、1985(昭和60)年の日航ジャンボ機墜落事故の現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)に慰霊の登山道が整備されていることを踏まえ、「再発防止のためにも、事故の悲惨さを伝えていく必要がある。遺族が高齢化していくことも考えると、慰霊の道を整備するべきだ」と話した。

 事故は原因究明に至っておらず、県警、国土交通省運輸安全委員会の捜査、調査が続いている。

(8月6日)

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