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夏休みの宿題の読書感想文で、かつて人気があった一冊に発明王エジソンの伝記がある。学校に行かなくても才能を開花させたエピソードは、子ども心にも親しみがわいた。そのライバルだったニコラ・テスラを知ったのは最近である

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米電気自動車(EV)メーカーの社名でもある交流モーターの発明者だ。電力供給の根幹となる交流システムを考案し、ネオンなどの放電照明や無線電信、無線操縦などのアイデアを次々生み出した。「電気の世紀」と言われた20世紀の開拓者でもある

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1856年、クロアチア生まれ。渡米しエジソンの助手をした後、独立。直流システムのエジソンと業界を二分する激しい争いの末、技術的な優位性を示して勝利した。しかし資金調達や事業化のセンスではかなわず、晩年は不遇だった。これも伝記にならなかった一因だろうか

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マーガレット・チェニー著「テスラ」に詳しい。テスラのまいた種は再び花開こうとしている。EVでは交流モーターやワイヤレス給電の技術が使われる。米国と中国は排ガスゼロへ規制を強め、英仏も将来、ガソリンとディーゼル車を禁止する方針だ

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従来型エンジンの性能を究めた日本メーカーには土台から覆されるような事態である。今度、マツダがトヨタと提携する理由にもEV対応があるようだ。テスラは米国繁栄に貢献した代表的な一人でもあった。移民制限を強化しようとするトランプ大統領にも目を向けてほしい偉才である。

(8月6日)

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