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斜面

路地にイガグリが散らばっていた。強い風で落ちたのか、青々としている。柔らかそうに見え、ついつかもうとして、とげが刺さった。見上げると、玉のような丸い実が枝にたくさんついている。「毬栗」と書く理由が分かった気がした

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今日は立秋。暑さはまだ盛りだが、小さい秋がふと目に留まる時季でもある。大通り沿いのビルの前庭にあるトチノキは枝がたわむほどに実をつけている。子どものころ、くぎでくりぬいて笛にしたのを思い出す。近所にひときわ大きな木があった

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朝晩ぐっと涼しくなったのを感じてか、家の庭隅ではワレモコウが色づき、秋海棠(しゅうかいどう)も紅色の花をつけ始めている。〈秋海棠西瓜(すいか)の色に咲きにけり〉。芭蕉にそんな句がある。物を知らず、夏と秋が交じった句かと思っていたら、西瓜も秋の季語だった。まさに今時分の光景だろうか

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お盆の声を聞くと、そろそろかと楽しみになるものがある。一つは川中島白桃。山梨、福島に次ぐ生産地、信州の桃を代表する品種だ。晩生で、出回るのはもうしばらく先。先日、通りがかりに古戦場跡の直売店に寄ったが、さすがに気が早かった

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あと一つ、日本酒好きにはこたえられないのが、ひやおろしだ。春に火入れ(加熱殺菌)した酒が夏を越し、やさしい口当たりになる。今年は10月になっても暑さが残るという。秋らしい秋は当分訪れそうにないけれど、小さい秋に目を凝らし、季節が移り変わっていく気配を感じ取りたい。

(8月7日)

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