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信州から平和を問う 「原爆の日」 長野・松本・大桑で講演

「HEIWAの鐘」を披露する大桑中3年生たち=大桑村「HEIWAの鐘」を披露する大桑中3年生たち=大桑村
 県内では広島原爆の日に合わせて6日、長野、松本両市などで核兵器廃絶の誓いを新たにしたり、戦争をテーマにした講演が開かれたりした。

 原水爆禁止長野県協議会(県原水禁)は原水爆禁止県大会を長野市の県労働会館で開催。5歳になる直前に広島市で被爆した県原爆被害者の会「長友会」の今井和子さん(76)=長野市=が60人余を前に体験を話した。

 爆心地から約2キロ離れた家で被爆。「鋭い閃光(せんこう)が走り、地響きのような音で暴風の中にいるようだった」と振り返った。中学校教員の祖父は帰らず、「母と祖母は毎日探した。遺体の山から(目印の)金歯を探したが、見つからず死を認めるしかなかった」。原爆投下から60年後、学校関係者から、祖父は教え子と一緒に爆心地から500メートルほどの所で亡くなったと知った。

 核兵器禁止条約の採択に日本政府が不参加だったことは、「核兵器の残虐性を実感できる日本がこんな姿勢でいいわけない」と批判した。大会は条約批准を求めるアピールを採択した。

 木曽郡大桑村歴史民俗資料館では平和関連の講演に合わせ、地元大桑中学校の3年生26人が「HEIWAの鐘」を歌った。修学旅行で4月に広島市を訪れ、平和記念公園「原爆の子の像」前で歌い、人だかりができたという。この話を村教育委員会が知り、村内で歌ってと依頼した。

 生徒たちは午前8時15分、村民約80人と一緒に黙とうをささげた。歌う前、生徒会長の尾上侑(あつむ)さん(15)が「生きている幸せや、戦争をしてはいけないとの思いを込めたい」とあいさつした。

 講演では、通信兵として朝鮮半島に渡った同村の河口次利さん(89)が体験を話した。引き揚げた際に焼け野原の広島を通り、「原爆がいかに非人間的か身に染みた」と語った。大桑中の生徒には歌を歌い続けてほしいと求めた。

 松本市の神宮寺では、犠牲者を慰霊する「原爆忌」が開かれた。戦争を語り継ぐ8日までの催し「いのちの伝承」の講演があり、約180人が参加した。会場には、日本画家の丸木位里(いり)さん、俊さん夫妻の「原爆の図」や「沖縄戦」の一部を展示した。

 講演は、戦争をテーマに創作する彫刻家金城実さん(78)=沖縄県読谷村=と、同寺の高橋卓志住職(68)がやりとりする形。金城さんは父親が18歳で結婚後、19歳で出征して戦死したと紹介し、「妻子を置いて天皇に命をささげた時代とは何だったのか」と話した。戦争では幼い犠牲者が少なくなく、次世代にどんな社会を継ぐかが大切とし、「何を生きるか。あなた方の問題だ」と語り掛けた。

 「いのちの伝承」は20回目。高橋住職が来年いっぱいで住職を退くため、高橋さんが企画する形は最後になるという。

(8月7日)

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