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北朝鮮制裁 外交努力との両輪で

 北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を7月に2回発射したことを受け、国連安全保障理事会は新たな制裁決議を採択した。

 北朝鮮に石炭や鉄鉱石、海産物などの輸出を全面的に禁じるのが柱だ。対象は北朝鮮の主産品で、昨年の輸出総額で見れば、3分の1の約10億ドル(約1110億円)に相当する。

 北朝鮮と取引をしている国が対象品目の輸入を一斉にやめれば、金正恩政権にとって大きな痛手になるのは間違いない。

 北朝鮮は激しく反発している。新たな核実験やミサイル発射を強行しないよう、国際社会は外交努力を尽くさねばならない。

 見過ごせないのは、制裁逃れが横行してきたことだ。核・ミサイル開発を阻止できるかは、不透明と言わざるを得ない。

 決議は全会一致で採択された。北朝鮮にとって石炭の輸出は主要な外貨獲得源だ。対中輸出の4割を占めているともされる。

 これまでの制裁では民生目的の場合は石炭の取引ができるなどといった例外規定があり、抜け穴となっていた。今回の制裁はその穴もふさぐ狙いがある。

 鉱物資源の輸出と並び、重要な資金源となっている労働者の国外派遣にも網を掛けた。国連加盟国に新たな受け入れを禁じた。

 しかし、既に海外で働いている労働者は対象外だ。核・ミサイル開発資金を遮断する難しさも浮き彫りにした。

 今回の安保理交渉は、圧力強化を求める米国と、北朝鮮と友好関係を保つ中国、ロシアとの駆け引きとなった。米は北朝鮮経済の生命線である石油の禁輸を主張。中ロは息の根を止めるほどの厳しい制裁には反対した。

 真相は分からないが、米国が中ロに妥協したように映った。対話による解決を訴える中ロ側も、その道筋を付けるには一定の圧力が必要と判断し、新たな制裁に賛成したとみられる。

 米が採択を急いだのは、マニラで開いている東南アジア諸国連合の会議で北朝鮮の孤立化を強調する狙いだったのではないか。ティラーソン米国務長官は、河野太郎外相ら関係が深い各国外相と相次いで会談したものの、存在感を発揮するには至らなかった。

 問題は、新たな制裁では一致できても、米と中ロの溝が相変わらず深いことだ。北朝鮮から足元を見られるだけだろう。北朝鮮と米中ロ日韓が核問題を話し合う6カ国協議を一刻も早く再始動させる必要がある。

(8月8日)

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