長野県のニュース

斜面

蒸し暑さがこたえる時季は近くの高原が救いになる。車ですぐ行けるメリットは信州なればこそ。一昨日訪ねた東御市の「池の平湿原」は気温20度ほど、下界より10度余りも低かった。浅間連峰の西にある標高2千メートルの高層湿原である

   ◆

「高山植物の宝庫」と言われるだけあって図鑑を手にした年配グループや自然学習の生徒でにぎわっていた。マツムシソウが咲き始め、ヤナギラン、クルマユリがちょうど見ごろ。主役は短い周期で代わる。近くの斜面ではコマクサが終盤を迎えていた

   ◆

長年、四季折々を楽しませてくれた箱庭のような湿原である。木道や駐車場などの施設が整い、案内スタッフも充実した。だが気掛かりは植生の変化だ。池が小さくなってコケ類が減り、ササが広がったように見える。乾燥が進んだのか、ササを追うようにカラマツも生えてきた

   ◆

草原化、森林化は各地の湿原に共通する深刻な問題という。増えるニホンジカに食べられたり、土砂が流入したり。植物が何千年も積もってできた泥炭層の分解が、地球温暖化で速まっているとの指摘もある。多様な植生を失えば観光の痛手にもなろう

   ◆

長野市飯綱高原の湿原では住民ボランティアが外来植物の抜き取りを続けている。自然の流れに任せるか、人の手を入れるか、入れるならどこまでか、判断は難しい。「少なくとも植生をしっかり調べ、それぞれの環境に合った策を考えるしかない」。湿原保全に取り組む専門家の指摘だ。

(8月8日)

最近の斜面