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快適山小屋 標高2000m超に温水シャワー 八ケ岳・硫黄岳山荘

個室で汗を流せる硫黄岳山荘のシャワーブース。脱衣スペースも広々としている個室で汗を流せる硫黄岳山荘のシャワーブース。脱衣スペースも広々としている
 八ケ岳連峰の硫黄岳(2760メートル)に近い山小屋「硫黄岳山荘」は、稜線(りょうせん)上にありながら温水シャワーや温水洗浄便座が利用でき、登山者に好評だ。八ケ岳は初心者向けのコースも多く、山小屋の快適性を高めて登山者の裾野を広げようと知恵を絞っている。

 「こんな所でシャワーを浴びられるなんて」。福島県猪苗代町の渡部久さん(62)は今月1日、山荘に泊まって驚いた。日本百名山の踏破に挑戦中で全国各地の山に登っているが、水が貴重な稜線の山小屋では初めての体験。早速汗を流し、「とても快適」とさっぱりした表情で話した。

 幅1・7メートル、奥行き1・3メートルの個室を四つ並べ、それぞれに90センチ四方のシャワーブースを備えた。約140メートル低い場所の沢からポンプでくみ上げた水を、プロパンガスで沸かす。利用時間は着替えを含め15分以内で、料金は宿泊代と別に500円。シャンプーやせっけんの使用は禁止だ。

 同山荘は2002年に合併浄化槽と湧水をくみ上げるポンプを導入し、トイレを水洗化。温水洗浄便座も入れた。12年に設置した温水シャワーの初期投資は数百万円で、燃料代もかかるが、硫黄岳山荘グループ社長の浦野岳孝(たかゆき)さん(57)は「利用料で元を取ろうと考えていない。山小屋でも快適に過ごせると知ってもらいたい」と話す。今春には、グループの山小屋3軒全てに無料公衆無線LANサービス「Wi―Fi(ワイファイ)」も整備した。

 浦野さんが山小屋の快適性や利便性の向上に取り組むのは、長期的な登山人口の減少に歯止めをかけたいとの思いから。「山小屋で不快な思いをすれば、山から足が遠のく一因になってしまう」。一方で、「山の魅力を知ればファンになってくれる人は少なくない」と、潜在的な可能性は大きいと捉えている。

 初心者向けの登山教室を開いて歩き方の基本や山歩きのルールなどを指導し、専門家を招いた高山植物の観察会、バードウオッチング、スケッチの講習会なども企画。さまざまな切り口で、山に足を運ぶきっかけをつくろうとしている。

(8月9日)

長野県のニュース(8月9日)