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ライチョウの山 テン生息鮮明 環境省 南ア北岳で試験捕獲

南アルプス北岳周辺に設置されたテンを誘い込む金属製の「籠わな」=5日(環境省提供)南アルプス北岳周辺に設置されたテンを誘い込む金属製の「籠わな」=5日(環境省提供)
 環境省は本年度、国特別天然記念物「ニホンライチョウ」の減少が深刻になっている南アルプス北岳(山梨県、3193メートル)周辺で、ひなを捕食しているとされるキツネやテンの試験捕獲を始め、8日までの2カ月余でテン6匹を捕まえたと明らかにした。予想を上回る多さで、本来は里山周辺に生息する野生動物が標高3千メートル級の高山帯を生息域にしていることが改めて裏付けられたとしている。今後も捕獲を続け、ライチョウ保護に効果があるかを検証する。

 国立公園の特別保護地区で、ライチョウ保護のために野生動物を捕獲したのは初めて。同省は必要な許可を申請した後、5月下旬から捕獲を開始。北岳周辺にある肩ノ小屋と北岳山荘近くの2カ所に、動物を傷つけない捕獲方法とされる、餌を入れた金属製の籠に誘い込む「籠わな」を計8基設けた。

 5月に1匹、6月に5匹を捕獲。当初、捕獲したテンの胃の内容物を確認する予定だったが、ライチョウ保護のため他の野生動物を殺すことへの批判もあり、動物園で飼育する計画に変更。2匹は搬送できたが、4匹は山中で死んだ。

 籠わなは今月5日にいったん撤去した。キツネは9月ごろに高山帯に上がるとされ、9月上旬から10月下旬に再び籠わなを設置する。

 山林や農地の荒廃などを背景に里山の野生動物の個体バランスが崩れ、生息域を高山に広げているとの見方があった。同省長野自然環境事務所(長野市)の福田真・自然保護官は「警戒心が強い野生動物がこれだけ捕まり、改めて高山帯での生息域の拡大が浮かんだ」とする。

 同省は2015年度から、北岳でライチョウのひなの生存率を上げるため一定期間、ケージで保護して放す事業にも取り組んでいる。過去2年間は放鳥後に大幅に個体数の減少が見られ、捕食された可能性が指摘されている。本年度も16羽のひなを今月5日に放鳥しており、今後、生息数の推移を調べ、テンなどを捕獲した効果を確かめる。

 現地の作業に加わる中村浩志国際鳥類研究所(長野市)の小林篤理事=鳥類生態学=は、「放鳥したひなの生存率のアップにつながるかどうか、注意深く見守りたい」としている。

(8月9日)

長野県のニュース(8月9日)