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長崎原爆の日 核の傘を脱却する道探れ

 核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください―。

 長崎市の田上富久市長はきのう、原爆の日の式典で読み上げた平和宣言で日本政府に強く迫った。

 田上市長は条約について被爆者が積み重ねた努力が形になったとし、「ヒロシマ・ナガサキ条約」と呼びたいと述べた。

 唯一の被爆国でありながら核抑止力に頼り、廃絶に本気で取り組もうとしない安倍晋三政権に対する不信感を物語る。政府は被爆地からの切実な訴えを真摯(しんし)に受け止めなくてはならない。

 広島市の松井一実市長も禁止条約に関し、6日の平和宣言でその意義に言及した。市民社会は核兵器が自国の安全保障に役に立たないということを知り尽くしていると指摘。その上で「1発の(核兵器の)威力が72年前の数千倍にもなった今、敵対国のみならず自国をも含む全世界の人々を地獄へ突き落とす」と断じた。

 田上市長も核兵器が必要だと言い続ける限り、核の脅威はなくならないと訴えた。

 その通りである。核兵器を先に使えば、報復攻撃が待っている。人的被害だけでなく、経済や環境も含めて世界が破滅的な状況に陥るのは明白だ。

 禁止条約はその危険性を前面に打ち出し、全人類の安全保障に関わる問題と位置付けた。安全保障を核に委ねる政策の転換を核保有国や核の傘に依存する国に促していると言っていい。

 安倍首相は広島、長崎でのあいさつで、条約にはひと言も触れなかった。核廃絶に向けては核保有国と非核国の双方に働きかけると語っただけだ。具体性はなく、素っ気ない中身だった。

 条約参加を求める被爆者との面会でも、首相はあいさつと同じような言葉を繰り返し、失望感ばかりが広がった。

 折しも、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載できるまで核弾頭の小型化に成功したとの見方を米有力紙が報じた。トランプ米大統領は反応し、「世界が見たこともないような炎と怒りに直面する」と武力行使を示唆して北朝鮮をけん制した。

 核は緊張を高め、偶発的な武力衝突の危険性を招く。条約の実効性を高めることが日本の役割ではないのか。保有国と非核国の橋渡し役になると口で語るだけでは国際社会から信用されない。核への依存度を低減させる道筋を示し、行動を始めるべきだ。

(8月10日)

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