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「野球日誌」と題する大学ノート3冊が松商学園に残されている。1953〜54年に野球部員が書いたものだ。当時、松商は故胡桃沢清監督の指導で復活を遂げ、甲子園に連続出場を果たしていた。ノートからはその強さがうかがえる

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「部員心得15条」から始まり、日々の練習課題や指導の内容を書き込んでいる。例えば53(昭和28)年2月25日。〈打撃力を十分生かす為(ため)には優れた走者となり、優れた走塁をしなければならない〉。動作や判断などそのために肝要な技術を挙げている

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「野球ノートに書いた甲子園」(高校野球ドットコム編集部)で知った歴史の一こまだ。それから60年余。9年ぶりに出場した夏の甲子園で選手たちが躍動した。「足でプレッシャーをかける」機動力が持ち味のチーム。セーフティバントや盗塁で相手を揺さぶり21安打を放った

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長打は1本だけ。こつこつ得点を重ねて17年ぶりに甲子園の勝利を収めた。ここに至る復活の道のりも長かった。11年に母校の監督に就いた足立修さんは日誌を習慣にするよう選手に求めた。その日を深く振り返ることが明日につながるとの考えからだ

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部内暴力で対外試合禁止になった14年、部員は話し合い伝統の「心得」を自分たちの言葉で表現し直した。そんな先輩の積み重ねもチーム力を引き上げたのだろう。青柳真珠(ましゅう)投手は県大会開幕日に足立監督に感謝の思いをつづった手紙を渡したそうだ。言葉の力も選手を後押ししている。

(8月10日)

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