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ロッキード事件概要 在米日本大使館員が事前に把握

 昭和史に残る大疑獄「ロッキード事件」は、米議会上院の公聴会がロッキード社の対日工作を公表した1976(昭和51)年2月4日に初めて明らかになったとされてきたが、それ以前に在米日本大使館が公表内容の概要を把握していたことが分かった。当時の在米日本大使館1等書記官で、後に駐フランス大使も歴任した男性(78)が10日までに信濃毎日新聞に証言した。

 米議会上院外交委員会・多国籍企業小委員会は76年2月4日に公聴会を開き、ロ社から対日工作資金を受け取った日本人の名前や証拠資料を公表した。元書記官によると、公聴会の約3カ月前の75年秋から個人の判断で小委員会の関係者らに接触。翌年1月末に公聴会の開催日を知り、上司とも相談の上で外務省に報告した。2月2日に公表資料を入手し、開催前に大使館から外務省へファクスしたという。

 日本では2月5日、ワシントン発の報道で疑惑が衝撃的に伝えられた。翌6日の衆院予算委で野党から説明を求められた外務省アメリカ局長は、「資料はかなり膨大なもので、当方はまだ入手するに至っていない」と答弁。事前に公表資料を入手していたとは説明しなかった。

 元書記官によると、開催日時を報告した電報も後日取り消されたという。元書記官は取材に「政治的に難しい立場に立つのを恐れた外務省が、事前に情報収集していた事実を隠したと思われる。報告内容が首相官邸や外相にまで上がっていたかどうかは定かでないが、情報の取り扱いをどうすべきか教訓となる事件だった」としている。信濃毎日新聞は外務省に情報公開請求をしたが、関連する電報類は見つかっていない。

 元書記官は匿名を条件に「ロッキード事件や日米外交史を検証するための一助にしてほしい」と、当時の記憶を詳細に記した手記を本紙に寄せた。

 本紙は手記について、当時の国会議事録や公文書などと照合しながら内容を精査。事件の検証や、行政と政治のあるべき関係を考える上で貴重な内容を含んでおり、公表すべきだと判断した。

(8月11日)

長野県のニュース(8月11日)