長野県のニュース

東芝決算発表 経営再建の道は険しい

 報告書の提出で経営再建の見通しが立ったとは言えないだろう。

 東芝がきのう、2017年3月決算の有価証券報告書を関東財務局に提出した。本来の提出期限は6月末である。決算の処理を巡り、東芝と監査法人の意見が対立したため、提出を延期していた。

 対立した原因は、米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が出した巨額損失の会計処理である。

 監査法人は東芝が16年3月期中に損失を知りながら、同期中に処理をしなかったと指摘。東芝は16年12月まで問題の発生を知らなかったと反論した。

 対立は最後まで解消せず、最終的に監査法人は「限定付き適正意見」を出した。処理の遅れが決算全体に与えた影響は限定的という判断である。

 「不適正意見」が付けば、上場廃止につながる可能性があった。東芝は監査法人の指摘は「見解の相違」とし、綱川智社長は記者会見で「経営課題の一つを解決した」と述べている。

 危機はこれで回避できたのか。答えは「ノー」である。むしろ不信感は高まったのではないか。

 監査法人は、巨額損失の処理を巡る内部統制については「不適正」の意見を出している。監査法人の意見は重い。同じような巨額損失が今後、発生することはないのか、市場の目は厳しくなる。

 監査法人の指摘通りに16年3月期に損失を計上していれば、17年3月期を合わせて2期連続の債務超過になり、自動的に上場廃止になる可能性もあった。損失隠しの疑念も拭えない。

 東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)は東芝の内部統制を審査中だ。改善が認められないと判断されれば上場廃止になる。影響は大きいものの、市場の信頼性維持を優先して、厳密に審査しなければならない。

 東芝が本年度内に債務超過を解消できなくても上場は廃止される。切り札とする半導体子会社の売却も予定通り進んでいない。

 売却するのはスマートフォンの記憶媒体に使うフラッシュメモリー事業だ。17年3月期は9千億円近い売上高があり、1866億円の営業利益があった。営業利益全体の約7割を占めた最大の稼ぎ頭である。売却で債務超過を解消しても、残った事業で経営基盤を強化するのは容易ではない。

 経営陣のリスク回避能力も問われる。生半可な姿勢と覚悟では再建は厳しいだろう。

(8月11日)

最近の社説