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273グラムで生まれた赤ちゃん こども病院退院へ

担当医の田中さん(左)と看護師に抱っこされた、退院間近の赤ちゃん=安曇野市の県立こども病院担当医の田中さん(左)と看護師に抱っこされた、退院間近の赤ちゃん=安曇野市の県立こども病院
 体重273グラムで誕生した女の赤ちゃんが12日、安曇野市豊科の県立こども病院を退院する。昨年11月に生まれた時、大人の手のひらにのるほどだったが、現在は体重3千グラムを超えた。国内では2006年に265グラム(妊娠25週)で生まれた例がある。今回はこれに次いで小さいが、妊娠22週2日の出産。“日本で最も早く、小さく生まれた赤ちゃん”の順調な成長に、関係者は喜んでいる。

 県内在住の母親が妊娠中、重症の妊娠高血圧症候群となり、信州大病院(松本市)に入院。その後、県立こども病院に転院し、帝王切開で出産した。

 生まれた当初、赤ちゃんは体の機能が未熟で、口からの挿管で呼吸を確保し、へそから水分や栄養、薬を点滴で投与するといった集中治療が続いた。命にかかわる心臓の病気を生後2カ月弱で手術し治療するなど、何度かの危機を乗り越えた。目立った後遺症もなく、現在は自分で呼吸し、母乳を吸えるまでに育った。

 担当医の田中明里さん(32)によると、入院中、両親はほぼ毎日面会に訪れ、母親は朝から晩まで寄り添っていたという。田中さんは「本人の生命力が強かったことに加えて、両親がそばにいたことが良い影響を及ぼしたのではないか」と話す。

 こども病院は産科と新生児科が連携し、出産可能ぎりぎりの妊娠22週からの分娩(ぶんべん)、新生児の集中治療を手掛けている。新生児科部長の広間武彦さん(48)は「県唯一の総合周産期母子医療センターとして総合力を尽くせた」。信大病院との連携で、リスクの高い妊婦と胎児・新生児への対応についても「役割分担がうまく機能した」と振り返る。広間さんによると、22週で生まれた赤ちゃんの救命率は、過去5年間で9割を超える。

 400グラム未満で生まれ、退院できる赤ちゃんは世界的にも少なく、米国アイオワ大医学部が本人や家族の同意の下で記録をまとめている。日本周産期・新生児医学会の和田和子理事長(54)=大阪母子医療センター新生児科=は「赤ちゃんの状態が良く、医療レベルが高い長野県立こども病院だったという好条件が重なった。22週で生まれても元気に退院できる可能性があるという世界的に注目される価値あるニュース」と話している。

(8月12日)

長野県のニュース(8月12日)