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米国と北朝鮮 緊張あおる言動を慎め

 北朝鮮がグアム周辺への弾道ミサイル発射計画を表明したことで米朝の威嚇合戦が激しさを増している。

 島根、広島、高知県の上空を通過すると言及したため、日本を巻き込んで緊張感が広がってきた。

 「言葉の戦争」と言ってもいい状況である。激しい応酬は不測の事態を引き寄せかねない。関係各国は、不安をあおる言動を慎むとともに、事態の沈静化に努めなければならない。

 北朝鮮が大陸間弾道ミサイルに搭載できる核弾頭を開発したとの米情報当局の分析が火を付けた。

 「米国を脅さない方がいい。世界が見たこともない炎と怒りに見舞われることになる」

 トランプ米大統領は核兵器の使用を連想させる前例のない過激な言葉でけん制した。

 北朝鮮は新型弾道ミサイル4発をグアム沖30〜40キロの海上に同時に撃ち込む計画を検討していると表明。北朝鮮軍の司令官は、トランプ氏の発言が「わがミサイル兵の神経を一層鋭く刺激している」と反発した。

 ティラーソン米国務長官は沈静化を図ったものの、トランプ氏は再び「グアムに何かすれば、北朝鮮で見たこともないようなことが起きる」と気炎を上げた。

 国連安全保障理事会の決議を無視して核・ミサイル開発にのめりこむ北朝鮮指導部の姿勢が一番の問題である。が、外交解決に努めるべき米国のトップが核を含む武力行使を繰り返し示唆し、緊張を高めるのは理解できない。

 日本政府の対応も疑問だ。小野寺五典防衛相は安全保障関連法に基づき、集団的自衛権の行使可能な存立危機事態の認定もあり得るとの見解を国会で示した。海上自衛隊のイージス艦からの迎撃が想定される。

 グアムにある米軍基地が「日米同盟」にとって重要との認識だろうが、北朝鮮は米国の領域外に着弾するとした。仮に領域内への落下が確定的になったとしても、自衛隊の出動は国会の事前承認が必要で現実味に欠ける。

 日米の軍事的一体化をアピールすることで、逆に危険な状況に巻き込まれることにならないか。自ら火の中に飛び込むような言動はすべきでない。政府にはくれぐれも慎重な対応を求める。

 北朝鮮はミサイル技術の進展ぶりを示し、米国との交渉へ持ち込む考えなのかもしれない。危険な瀬戸際戦術である。偶発的な衝突を避けるため、国際社会の冷静な分析と行動が欠かせない。

(8月12日)

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