長野県のニュース

斜面

毎日のように下手な碁を打つ2人の大旦那が「待った」の一言から売り言葉に買い言葉でけんか別れ。しばらくすると「早く来りゃいいのに」とお互い気になって仕方がない―。5代目柳家小さん師匠が得意とした落語「笠碁(かさご)」である

   ◆

意地の張り合いの末、言いすぎたことを悔やんだり、仲直りのきっかけ探しに右往左往したり。長野市生まれの人間国宝が語る心理描写は目に見えるようでおかしかった。売り言葉に買い言葉は英語にも「悪口は別の悪口を招く」という似た表現がある

   ◆

気心知れた旦那同士なら面白がっていられようが、軍事力を背景に敵対する国となれば危険極まりない。「米国を脅すなら炎と怒りを見ることになる」。北朝鮮に警告したトランプ大統領の物騒な物言いである。常に強硬姿勢の国が相手では、抜き差しならなくなる恐れもあろう

   ◆

案の定、北朝鮮は日本を越えてグアム沖へミサイル4発を発射させる計画があると応酬。トランプ氏は「グアムに何かしたら、見たこともないようなことが起きる」とエスカレートさせた。民主国家の指導者らしからぬ言い方に、世界の市場も身構える

   ◆

大統領選挙中は金正恩氏と「ハンバーガーを食べる」とも話していた。激しく発言が振れる真意は何か。米国の世論調査では、北朝鮮への軍事行動について「支持」が増えているという。荒々しい威嚇の言葉に民心は鈍くなり、やがて現実になる。忘れてはならない戦争の苦い教訓である。

(8月12日)

最近の斜面