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実感なき成長 拡大する格差の解消を

 内閣府発表の国内総生産(GDP)が11年ぶりに、6四半期連続してプラス成長となった。今年4〜6月期は年率換算で4・0%増の高い伸びである。

 景気拡大は2012年12月に始まり、長さはバブル景気の51カ月を抜いて戦後3位だ。指標では経済は絶好調である。国民の懐は潤い、街は活気づくはずだ。

 それなのに実感は乏しい。理由の一つは、地方と大都市圏の格差が拡大していることである。

 共同通信が6〜8月に全国1788自治体を対象に実施したアンケートの結果が象徴的だ。

 景況感が昨年末と比べて「上向いている」と回答した市区町村は17%で、「変わらない」は10ポイント増えて76%になった。

 自治体のコメントには明るさは見えない。「消費低迷で依然として厳しい」「景気回復の波及効果が浸透していない」―。人口流出による働き手不足も目立つ。経済指標には地方の実情は十分に反映されていないのではないか。

 お金の流れも裏付ける。

 銀行の国内預金は1年間で6%増えた。都道府県別で全国平均を上回ったのは、東京のほか、地震という特殊要因があった熊本だけだ。東京が占める割合は全体の34・1%に上っている。

 金融機関にとって預金量は経営の基盤である。東京集中が進むと地域経済を支える貸し出しに回るお金も減りかねない。

 4〜6月期のGDPをけん引したのは個人消費だ。前期比0・9%増えた。自動車や家電、外食などへの支出が活発だった。

 個人消費を支えるのは賃金の伸びである。その格差も明白だ。

 17年度の地域別最低賃金では、全国平均の時給は前年度から25円増えたものの、都市部と地方の格差は拡大した。最低の高知など8県は737円で、東京より221円低い。金額差は3円拡大し、32県が700円台にとどまった。

 賃金の格差は購買力の格差につながり、地方から労働人口が流出する懸念もより強まる。

 安倍晋三政権のアベノミクスは金融緩和と財政出動で大企業や富裕層が潤えば、地方と中小企業に波及する「トリクルダウン」を想定していた。看板政策の一つとして、地方創生も掲げてきた。実態はどうか。効果が一部にとどまっていることは明白である。

 人口減少が続く中で、地方経済を再生するには、地道に新たな産業を育てて人材の流出を防ぐしかない。アベノミクスを総点検し、再出発するべきだ。

(8月21日)

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