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NAFTA再交渉 米国の姿勢が問われる

 3カ国の利益になる協定見直しとなるか。トランプ政権の姿勢が問われる。

 米国、カナダ、メキシコが結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉である。域内で関税がゼロになる条件などが見直し対象に上っている。

 米国は貿易赤字が減るように自国に有利な内容に見直したい考えだ。カナダとメキシコは反発しており、交渉の難航は必至だ。

 再交渉は、米国の利益を優先する保護主義的な政策を掲げるトランプ政権の今後の方向性を示すことになる。米国が力を背景に交渉を進めるようでは、トランプ政権の通商政策に対する世界の疑念が深まる。日米経済対話の行方にも暗雲が垂れ込めるだろう。交渉の行方を注視したい。

 1994年に発効したNAFTAは、2008年までに域内の物品関税を段階的に撤廃した。人件費の安いメキシコで生産し、米国に輸出する自動車メーカーなどが増えた結果、米国の貿易赤字の増加につながった。対メキシコは約362億8700万ドル(約4兆円)、対カナダは105億500万ドルに上っている。

 トランプ氏は、国内雇用の増大と貿易赤字の削減を目指している。米国に輸出される製品に、より多くの米国産部品が使われるようにしたい考えだ。カナダとメキシコは自国産の部品採用が減る可能性があるため、反対している。

 日本への影響も大きい。メキシコの日系企業は2016年時点で1111社あり、12年から倍増した。メキシコは日本メーカーにとって、北米輸出製品の生産拠点になっている。交渉次第では生産体制に影響を及ぼす。部品調達網も再構築する必要があるだろう。

 米ワシントンで20日まで開かれた再交渉の初会合では、米国の交渉姿勢に対する懸念が早くも表面化している。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は「トランプ大統領は協定の微修正には興味がない」と大幅な見直しを要求した。これに対し、カナダとメキシコは「(勝つか負けるかの)ゼロサムゲームではない」などと米国の姿勢を批判している。

 米国が考えなければならないのは、人件費が高い米国で生産された部品をより多く使用すると、完成品の価格も高くなり、競争力が落ちる可能性があることだ。そのつけは結果的に米国企業と米国民が払うことになる。域内3カ国の利益がどこにあるのか、広い視点で交渉を進める必要がある。

(8月22日)

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