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16年ぶり確認トノサマガエル 実はよく似た別種か

長野盆地にすむトウキョウダルマガエル=今年6月、長野市三才長野盆地にすむトウキョウダルマガエル=今年6月、長野市三才
 長野地方気象台(長野市)の「生物季節観測」で今年5月に16年ぶりに姿が確認されたトノサマガエルが、実際は別種のトウキョウダルマガエルのはず―との指摘が出ている。気象庁は指針で「形態に則しているものはトノサマガエルとして観測する」としており、観測上の問題はないという。トウキョウダルマはトノサマより希少だが、専門家以外には、違いが認識されていない状況がうかがえる。

 トノサマとトウキョウダルマは共にアカガエル科で、後ろ脚の長さや背中の模様に少し違いがあるものの、よく似ている。

 信州大学術研究院理学系の東城幸治教授(46)=進化生物学=によると、国内には、両種が生息する地域と一方のみが生息する地域があり、長野盆地には以前からトウキョウダルマのみが生息。気象台は、トウキョウダルマをトノサマとして長年観測してきた可能性が高い。

 カエルの分布に詳しい岩手医大の小巻翔平特別研究員(29)=信大理学部卒=は、「両種が生息する地域でもダルマガエルはあまり知られておらず、トノサマガエルだと思われていることが多い」と話す。

 かつてトノサマと考えられていたカエルの中から、1941(昭和16)年にダルマが区別されるようになったといい、小巻さんは「長い間トノサマと呼ばれていた名残で、現在でもその名前がダルマに対しても使われているのではないか」。出身地の茨城県はトウキョウダルマの生息地で、自身も子どものころは混同していたという。

 県内では近年、両種が生息する松本盆地で、トウキョウダルマがトノサマとの交雑が進んで姿を消す恐れが指摘されている。東城教授によると、トノサマは犀川の下流に向かってトウキョウダルマと交雑しながら生息域を広げつつある。小巻さんも「恐らく東筑摩郡生坂村辺りまでは進出しているだろう」とするが、長野盆地には達していないとみる。

 トウキョウダルマは、県版レッドリストの15年改訂版で「絶滅危惧2類」に位置付けられた。優位に立つトノサマも、水田減少などで数が減っており、同版で「準絶滅危惧」に指定された。

 長野地方気象台の担当者は「昔からトウキョウダルマをトノサマと見ていたのかもしれない」と驚いた様子。東城教授は「種が違っても、動植物を通じて季節を把握する観測の意義が崩れるわけではない」と強調している。

(8月23日)

長野県のニュース(8月23日)