長野県のニュース

憲法の岐路 民進代表選 選択肢示す論戦を期待

 安倍晋三首相の改憲路線にこれからどう向き合うか。民進党代表選に立候補している2氏の姿勢の違いが鮮明になった。

 前原誠司元外相が改憲論議に応じる考えを示したのに対し、枝野幸男元官房長官は立憲主義に抵触しかねない首相の言動を厳しく追及する構えだ。

 投票まで1週間余。問題を各面から掘り下げ党内論議を盛り上げて、対抗軸を強化する代表選にしてもらいたい。

 「安倍政権下での改憲に反対、と言うのは国民の理解を得られない」。前原氏は立候補後の共同記者会見の冒頭、こう述べた。

 その一方、首相が来年の改憲案国会発議を目指していることについては「性急で拙速」としている。「議論には年単位でかかる」との言葉もあった。丁寧な議論を求めているとも受け取れる。

 これに対し枝野氏は会見で、立候補した理由に「立憲主義がないがしろにされ、情報の隠蔽(いんぺい)がまかり通る政治に怒りを感じる」ことを挙げた。「安保法制の憲法違反の部分を消さないことには議論の余地はない」とも述べている。

 首相は2014年、閣議決定で憲法解釈を変更し集団的自衛権行使に道を開いた。16年には安保関連法を施行した。

 集団的自衛権行使は具体的には地球規模で活動する米軍との軍事協力の拡大を意味する。戦争放棄、戦力不保持を定めた憲法に抵触する可能性が高い。

 事柄の重大性を踏まえるなら、枝野氏が言うように、改憲論議を拒否するのも野党としてとり得る姿勢の一つになる。各党が対案を示し合う展開になったりすると、論議の全体が改憲路線に取り込まれる結果になりかねない。

 衆参の憲法審査会の審議にどう臨むのか。審議に応じる場合、安倍政権が重ねてきた解釈改憲にどんな態度を取るのか―。両氏に聞きたいことの一つだ。

 代表選では原発や消費税、社会保障政策も争点になっている。旧民主党は財政の裏付けを欠いた政策を選挙でアピールした結果、政権獲得後に行き詰まり、野党に転落した経験を持つ。難問から逃げず、政策を磨き上げて、自公に代わる選択肢を示していくことを代表選の目標とすべきだ。

 民進党が政権獲得をどこまで真剣に考えて代表選出を進めているか。国民がそんな目で見ていることを忘れないでほしい。

(8月24日)

最近の社説