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安保をただす 防衛予算 野放図な増額を危ぶむ

 2018年度予算の概算要求で防衛省は5兆2551億円を計上する方針だ。過去最大の要求額になる。

 自衛隊の装備増強に積極的な姿勢が今回も示された。安全保障環境が厳しいからといって、「増額ありき」は認められない。

 目を引くのは、北朝鮮の弾道ミサイル発射への対処策だ。海上自衛隊のイージス艦に搭載する改良型迎撃ミサイルの取得費に472億円、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の改良型に205億円を盛る。

 新たに地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」導入にも乗り出す。技術を保持する米国と協議するため、概算要求では金額を示さない。年末の予算案編成時に設計費を盛り込む。

 ワシントンで先ごろ開催した外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で小野寺五典防衛相はイージス・アショア導入を進める考えを打ち出していた。

 費用は1基約800億円との試算がある。国内での説明を欠いたまま、米国との協議で既定路線にするのは納得できない。

 安倍晋三首相は2月の国会審議で、米国製装備品の購入拡大について「同盟の強化につながり、結果として米経済や雇用にも貢献する」と前向きな姿勢を見せた。米国からの導入そのものが目的になりかねない危うさもはらむ。

 今月初めの内閣改造の際には小野寺氏に対し、防衛力整備の指針である「防衛計画の大綱」見直しや、19年度以降の次期中期防衛力整備計画(中期防)の策定を指示した。防衛費を大幅に増やすつもりなのではないか。

 国と地方の借金は1千兆円を超す。財政状況は先進国で最悪の水準にある。20年度に基礎的財政収支を黒字化するという政府の財政健全化目標の達成は絶望的だ。

 にもかかわらず、第2次安倍政権発足後、防衛予算は年々、増え続けている。各省庁で歳出を抑える努力が求められる中、聖域扱いするかの優遇ぶりを当然視することはできない。

 防衛費の増大が周辺国に軍事費を増やす口実を与えたり、軍拡競争をエスカレートさせたりする可能性もある。予算編成作業で要求の妥当性や必要性を精査しなくてはならない。政府は防衛費についての考え方も国会や国民にきちんと説明する責任がある。

(8月28日)

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