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オオタカ保護 問われるのはこれからだ

 保護の必要性がさらに高まったと考えなければならない。

 猛禽(もうきん)類のオオタカである。絶滅の恐れがある「国内希少野生動植物種(希少種)」の指定が解除されることになった。環境相の諮問機関、中央環境審議会小委員会が了承している。

 理由は生息数の増加である。1984年の調査では推定生息数が300〜400羽台だった。その後は2005年に1800〜2200羽に、08年には5千〜8900羽に増えた。

 身近な里山に生息するオオタカは自然保護の象徴となり、営巣に適した森林が保護されてきた。増加は地道な運動の成果といえるだろう。絶滅が遠のいたことを、まずは歓迎したい。

 問われるのはこれからである。懸念されることは多い。

 希少種の指定は、種の保存法に基づいている。国内外の絶滅の恐れがある野生生物の保護を目的にした法律だ。希少種に指定された動植物は捕獲や販売、譲渡などが原則的に禁止される。

 指定が解除されても、捕獲などは鳥獣保護法に基づき禁止される。問題は大規模開発などによる営巣地の破壊である。

 都道府県などは開発に伴う環境アセスメントで、環境省の「猛禽類保護の進め方」という指針に基づき、業者に意見を出してきた。指針は法的な拘束力を持っていない。希少動物の保護をうたう「種の保存法」に基づく指定が、業者に配慮を促してきたといえる。

 希少種から外れて法的根拠を失えば、営巣林への配慮を怠る業者が増える可能性がある。里山の豊かな環境が悪化しかねない。

 忘れてはならないのは、オオタカは希少性が薄れても生態系の上位種であることに変わりはないことだ。生息環境の保全が生態系全体の維持につながる。都道府県は開発行為を今まで以上に厳しくチェックし、環境を守ることが欠かせない。

 調査も継続して行う必要がある。生息数は偏りがあるとされる。国内全体では増えていても、地域によっては減少が続いている可能性がある。長野県も15年に改訂した県版レッドリストで、個体数が大幅に減少している絶滅危惧2類に指定したままだ。

 独自の保護策が必要になる地域もあるだろう。都道府県は調査を積極的に実施して、生息の実態を把握するべきだ。環境省は生息数に減少傾向がみられた場合は、速やかに希少種に再指定しなければならない。

(8月28日)

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