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オスプレイ 米国に自粛要請を改めて

 米軍の新型輸送機オスプレイがオーストラリア沖で墜落したのは今月5日だった。まだ過去の出来事と片付けることはできない。

 事故を受け、沖縄県議会が日米両政府に抗議する決議と意見書を可決した。日常的に低空飛行が行われている沖縄の訴えである。政府は重く受け止めなくてはならない。

 決議・意見書は「墜落への不安が一層広がっている」とし、オスプレイの配備撤回などを両政府に求めた。「運用上の必要性を理由に県民の声を無視し続ける県民軽視の米軍の姿勢に憤りを禁じ得ない」と、米軍による飛行の強行を批判している。

 県議会だけにとどまらない。今月中旬には、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「県民大会」が那覇市で開かれ、国内での全面的な飛行禁止を求める特別決議が採択された。

 オーストラリア東海岸沖で墜落したのは普天間所属のオスプレイだ。艦船に着艦中、デッキに衝突して海に落ちた。乗員26人のうち3人が死亡している。

 事故後、防衛省は米側に国内での飛行自粛を要請したものの、米軍は飛行を続けた経緯がある。事故調査で米軍が機械的、構造的な欠陥はないと結論付けると、防衛省も飛行容認に転じた。事故からわずか6日後のことだ。

 まだ原因を調査中の段階で、具体的な根拠が分からないにもかかわらず、米軍の説明を「理解できる」とした。形ばかりの自粛要請だったのではないか。

 昨年12月に名護市の浅瀬で大破した際も政府は、安全が確認されるまでの飛行停止を要請しながら詳しい原因が分からないまま6日後の再開を容認していた。

 政府は、北海道での陸上自衛隊と米海兵隊との共同訓練にもオスプレイを参加させた。日米共同訓練では初の夜間飛行も演習場の上空で行われている。

 小野寺五典防衛相は「訓練参加には重要な意義がある」と述べていた。沖縄県の翁長雄志知事との会談では「わが国の安全保障に重要な装備だ」として飛行容認に理解を求めている。

 安全性に対する国民の不安を拭うことより、強固な日米関係のアピールを重視するようでは、政府への不信が募る。

 政府は「飛行の安全があって初めて運用ができる」などと強調してきた。事故原因の解明や国民が納得できる説明がないまま認めるのは筋が通らない。改めて米側に飛行の自粛を強く迫るべきだ。

(8月29日)

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